REPORT 日本代表レポート
日本代表レポート:第8回6/9(土)
スイス戦惨敗の日本が内容より重視しなくてはならないもの “神風”は都合よく吹きはしない
神風信仰とでも言うべき考えが、いまのサッカー日本代表を取り巻いているのかもしれない。
「8年前と何か通じるところはありますか?」
「8年前の経験が活かせる部分があるのでは?」
記者から選手たちへ、そんな質問が飛ぶことも少なくない。
いまから8年前、南アフリカW杯に臨む日本代表は批判にさらされていた。
しかし、大会直前に守備的な戦いへと大きくシフトチェンジをして、カメルーン代表との初戦に勝つと、日本で行われた大会以外では初めて決勝トーナメントに進出を果たした。
今年4月にヴァイド・ハリルホジッチが解任。西野朗新監督のもとでロシアW杯に向けての準備を急ピッチで進めている日本代表の姿が8年前と重なって映る人もいるようだ。
だが、現実はそんなに都合よく進まない。
6月7日イタリア国境にほど近いスイスのルガーノで行なわれたスイス代表との試合では0-2で敗れてしまった。5月30日に横浜で行われたガーナ戦と奇しくも同じスコアだ。
試合内容も似ていた。相手に守備を大きく崩されたわけではないが、要所を抑えられたことで失点を許してしまった。
そんな状況で、8年前と同じような結果が得られるのではないかと考えるのは滑稽でしかない。神風が都合よく吹くのではないか、と信じるのと同じくらいにありえないことだ。
では現状の何が問題なのだろうか。
この試合をベンチから見守った岡崎慎司はこんな風に感じたという。
「日本はどうしても内容は悪くなかったという話をしがちだけど、結果を大事にしないといけない部分はあると思います」
一方的に相手にペースを握られていたわけではない、という考えは捨てなければならない。この時点で考えるべきは、自分たちの実力を認識した上で勝つ可能性をあげることだ。
W杯に出場する多くのチームが一定の時間をかけて強化した上で試合に臨むが、日本は西野監督の下でたった3試合をこなしただけで本大会に臨まないといけない。チームの完成度も大きく劣る。であれば、内容は伴わないで当然だ。力の劣るチームが勝つのは決まって、相手にゴールを許さずに耐えた上で、どうにかして点を取る展開だ。相手は点を奪えなければ焦るし、やり方を変えようと考える。そうなれば、通常の状況であれば日本はなかなか点を取れないような相手からでも、点を取る隙も生まれてくる。
「勝つ確率を少しでもあげないといけない」
スイス戦では右サイドの攻撃的なポジションでフル出場した原口元気は、そうもらした。
現在の危機的な状況で内容は悪くないと考えることや、過去の状況と似ている面に期待することもナンセンスだ。
危機的な状況にあり、力の劣るチームが勝つには相手に点を許さない方法しかありえない。そう割り切った上で、点を奪われないことに全力を注ぐ。内容うんぬんという言い訳になりそうな考えも捨てる。そこにフォーカスすることで初めて相手に点を許さずにすむ可能性は出てくるし、相手のペースを乱すことで日本の切れ味のおとる攻撃でも点を取れるチャンスが高まってくる。
内容よりも、空虚な期待よりも、大切なことを把握する。そして、それを徹底的につきつめていく。いまの日本代表に求められるのはそういうものだ。それがなければ……日本のロシアW杯はあっという間に終わりを告げてしまう。
text by ミムラユウスケ
STANDINGS順位表
RANKING得点ランキング
順位 | 選手 | 得点 | ||
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1 | キリアン エムバペ | 8 | ||
2 | リオネル メッシ | 7 | ||
3 | オリヴィエ ジルー | 4 | ||
3 | フリアン アルバレス | 4 | ||
5 | コーディ ガクポ | 3 | ||
5 | ブカヨ サカ | 3 | ||
5 | リシャルリソン | 3 | ||
5 | ゴンサロ ラモス | 3 | ||
5 | アルバロ モラタ | 3 | ||
5 | マーカス ラッシュフォード | 3 | ||
5 | エネル バレンシア | 3 |