REPORT 日本代表レポート
日本代表レポート:第12回6/19(火)
遂に迎えたコロンビアとの初戦、心は熱く、頭は冷静に…求められるクレバーな戦い
勢いに任せた戦いにならないかどうか。
今は、そこだけが心配のタネである。
それをクリアできれば、希望は見えてくる。
ロシアW杯最終予選のベストマッチは2016年11月15日サウジアラビア戦だったと筆者は考えている。「満月の夜」に行なわれたあの試合は、試合前からチームが同じ方向をむいていた。当時の日本代表は批判だけではなく、それまでの主力選手の衰えや世代交代が喧伝されるなど、プレッシャーのかかる状況に置かれていた。
しかし、そのなかでW杯の出場権を獲得するために何をすべきか。それを選手たちが理解して、同じ月を見て戦っていたのである。実際、試合前から「負ける雰囲気はなかった」と選手やスタッフが証言している。
同じように、W杯前の最後の試合となったパラグアイ戦の前にも、チームはまとまっていた。それは例えば、試合前日、本大会でのスタメンのポジションを手にするために、個人的な結果が欲しいはずの岡崎慎司が、このように語っていたことからもあきらかだ。
「自分の今までやってきたことの全てをだして、W杯のコロンビア戦のヒントになるようなプレーがいくつか出れば、それはまずチームのためになると思う」
W杯の約2か月前に監督交代というハプニングがあり、パラグアイ戦直前の親善試合でも結果が出ておらず、チームは大きな批判にさらされていた。そのなかで、試合に出る選手も、出ない選手も、チームが良くなるためにはどうしたらいいのかを話し合い、アドバイスを送り合っていた。それがスタメンを直前のスイス戦から10人も入れ替えて挑んだパラグアイ戦での好パフォーマンスにつながったのは間違いない。
あの試合からチームは上昇気流に乗りつつある。
実際、スイス戦とパラグアイ戦、その両方に先発した唯一の選手である酒井高徳はこのように話している。
「どれだけチーム全員が、チームに犠牲心を出せるかというところを出せるかというところになってくると思うんですよね。誰一人として、『自分は一人で戦っているんだ』という気持ちは持っていないと思うし。それをスタメンで出る選手、出ない選手、みんな含めて、もっとやれれば、団結力が高まってくると思う」
コロンビアとの初戦に西野朗監督はこう語っている。
「スタートからリアクションサッカーというものは望みたくないです」
その言葉に偽りはなく、いまの代表チームには勢いがある。だからだからこそ、怖いのが“イケイケの戦い”をしてしまうことだ。
冷静になって考えなければいけないのは、日本の状態が良いとはいえ、コロンビアと10回試合をしたとしても、勝てるのはせいぜい1、2回くらいの確率だということ。勢いだけで打ち負かせる相手ではない。
そんな難敵から勝ち点を挙げるためには、心は熱く、頭は冷静になってプレーを続ける以外にない。チーム内に良いムードが漂っているからこそ、クレバーな戦いが求められるのだ。
試合が開催されるサランスクをはじめ、開催都市の多くは北海道よりもはるかに北に位置しているため、この時期は陽が長い。現地時間で試合が終わる17時ころになっても、太陽はさんさんと照りつけているはずだ。
みんなが同じ太陽をみて、でも、その暑さに影響されないくらいのクールな気持ちで戦うこと。
それが出来るかどうかに、日本代表の未来はかかっているのだ。
text by ミムラユウスケ
STANDINGS順位表
RANKING得点ランキング
順位 | 選手 | 得点 | ||
---|---|---|---|---|
1 | キリアン エムバペ | 8 | ||
2 | リオネル メッシ | 7 | ||
3 | オリヴィエ ジルー | 4 | ||
3 | フリアン アルバレス | 4 | ||
5 | コーディ ガクポ | 3 | ||
5 | ブカヨ サカ | 3 | ||
5 | リシャルリソン | 3 | ||
5 | ゴンサロ ラモス | 3 | ||
5 | アルバロ モラタ | 3 | ||
5 | マーカス ラッシュフォード | 3 | ||
5 | エネル バレンシア | 3 |