REPORT 日本代表レポート
日本代表レポート:第2回6/1(金)
発表はサプライズ一切なし!西野監督に求められるのは“膨らませる”よりも“捨てる”ことか
まったくもって順当な選出だった。予想を一切裏切らなかったという意味において。
日本代表の西野朗監督は31日、都内のホテルでロシアワールドカップに臨む日本代表メンバー23人を発表した。前日のガーナ戦に向けて選ばれた26人(当初は27人も青山敏弘が負傷離脱)から選外となったのは浅野拓磨、三竿健斗、井手口陽介。彼らはガーナ戦で背番号の数字が大きい順の3人。その時点で西野監督の“素直な”思いが表れていた。
このところ、ワールドカップメンバーの発表ではサプライズが起きるのが当たり前になっていた。2002年はフィリップ・トルシエ監督が土壇場でベテランの中山雅史と秋田豊を呼んで話題となり、2006年のジーコ監督は「ムァキ」こと巻誠一郎、2010年の岡田武史監督は川口能活、そして2014年のアルベルト・ザッケローニ監督は大久保嘉人を招集した。
しかし、西野監督の場合は、ガーナ戦に向けてラージグループを発表した18日に中島翔哉を外した時点で、すでにサプライズを終わらせていた。
3月のマリ、ウクライナ戦で突出した個のパフォーマンスで違いを生み出していたが、指揮官は「そのポジションは膨らんでいる」と左サイドを主戦場とするアタッカーの中では優先順位が低いと評価して外した。30日のガーナ戦では、宇佐美貴史や香川真司がそのポジションでプレーしたが、かえって「中島翔哉」の存在を浮き彫りにした。彼らが中島ほどの違いを生み出せなかった現実を受け、逆転招集の期待が高まったが、その驚きは生まれなかった。
西野監督の会見を受けて不安が募るのは、果たして本番までにある程度効果的に戦えるチームを作れるかという点だ。
「自分の中では、たくさん膨らむことは間違いない。この選手を選んで、どういうシステムで、キャスティングで、どういうゲームでと、ポジティブなことはたくさん思い描ける。それを落とし込むのが難しいが、それを選手たちには同じように描いてもらいたい」
西野監督はワールドカップでどのような戦術で戦うのか質問された時、このように答えている。いろんな可能性を膨らませることで、柔軟性や対応力を持とうということだ。
だが、今はもう、本番まであと2週間程度しか残されていないのだ。ただでさえ指揮官の交代による変化にチームを対応させていかないといけないのだから、実際のところ、できることは非常に限られている。
この段階では、いろんな選択肢を思いつくままに膨らませてる場合ではない。対戦相手の特徴、長所、短所を徹底的に洗い出し、ポイントを重要なものに絞ってチームの成熟を図らないといけない。
手段を1つしか用意していないとなると、それが失敗したらゲームオーバーになるので困るが、だからといって「あれもこれも」と手を出している場合ではない。中途半端に手を広げたら、可能性を増やしたつもりが却って何もできないチームになりかねない。
優先順位の低いものは思い切って削り、選手に落とし込むものはできるだけシンプルにしないと、本番までに間に合わないだろう。今はやみくもに増やすのではなく、余計な分は「捨てる」方が重要である。
text by 神谷正明
STANDINGS順位表
RANKING得点ランキング
順位 | 選手 | 得点 | ||
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1 | キリアン エムバペ | 8 | ||
2 | リオネル メッシ | 7 | ||
3 | オリヴィエ ジルー | 4 | ||
3 | フリアン アルバレス | 4 | ||
5 | コーディ ガクポ | 3 | ||
5 | ブカヨ サカ | 3 | ||
5 | リシャルリソン | 3 | ||
5 | ゴンサロ ラモス | 3 | ||
5 | アルバロ モラタ | 3 | ||
5 | マーカス ラッシュフォード | 3 | ||
5 | エネル バレンシア | 3 |