REPORT 日本代表レポート
日本代表レポート:第3回6/4(月)
本田圭佑、己を貫いた末に巡ってきた「最後のW杯」。“もってる”男が縁の地で大輪の花を咲かせる
燃え尽きた真っ白な灰のようだった。2014年6月25日。ブラジルワールドカップ1次リーグ最終戦のコロンビア戦翌日、敗退が決まったザックジャパンの一員として最後の取材に応じた本田圭佑の顔には生気がまるでなかった。
「いろんなことを考えた。やはり一番考えて辛かったのは、4年間正しいと思って貫いてきたことを結果として否定せざるを得なくなったこと」
自分の理想を追い求めて力を高めていけば、どんな相手でも戦える。その自信があった。どでかい目標も平然と口にしてきた。しかし、思い描く夢のために全てをかけて準備してきた4年間が、無残にもわずか10日で否定された。その現実に本田は打ちのめされた。
あれほど弱々しかった本田の姿を見たことはない。「時間をかけて自分自身の物差しづくりを一からやり直さないといけない」とそれまでの自分を否定しなければいけない衝撃だった。
あれから4年が経ち、本田はやはり“本田圭佑”だった。
バヒド・ハリルホジッチ監督は前線の選手にダイナミズムとゴールに直結するプレーを求めた。具体的には、裏を狙う動きだ。その中で本田は、自身の本来のスタイルではない裏抜けを愚直に何度も繰り返し、指揮官の戦術に合わせようとしていたときもあった。だが、なかなかうまくいかなかった。
そして、最後になって出てきたのは、己を貫くという“いつもの本田圭佑”だった。それが端的に現れたのが今年3月のウクライナ戦だ。当時、ワールドカップメンバー入りの当落線上にいた本田は、指揮官の求めるスタイルではなく、自分が最も好む「中盤でタメを作って攻撃を組み立てる」プレー、簡単に言うとザックジャパンでやっていたようなプレーを大胆に行った。
後に、本田はNHKの番組で「ハリルのやるサッカーに、すべてを服従して選ばれていく、その事の方が僕は恥ずかしいと思っている」と衝撃的な発言をしている。つまり、何をやっているかわかっていてやった、覚悟のプレーだった。
最後は己の美学を貫き、それで結果が出なかったのだから選外もやむなし。そう本人も腹をくくっていた時に、まさかのハリルホジッチ電撃解任が起きた。後任の西野朗監督は本田の能力、影響力を高く評価しており、立場が一変。5月31日に発表されたワールドカップ登録メンバー23人に名を連ねた。
2010年南アフリカのカメルーン戦で決勝弾を決めた際には「持ってるな、ということで」と強い星の下に生まれたことを自認していたが、本当に“持っている”男なのかもしれない。
ロシアワールドカップは集大成の場となる。6月13日が誕生日の本田は初戦のコロンビア戦を32歳で迎える。「おそらく最後のワールドカップになる」と本人もこれがラストチャンスだと捉えている。ロシアはかつてCSKAモスクワ在籍時に過ごした国でもある。縁ある場所で最後に大輪を咲かせられるか。
text by 神谷正明
STANDINGS順位表
RANKING得点ランキング
順位 | 選手 | 得点 | ||
---|---|---|---|---|
1 | キリアン エムバペ | 8 | ||
2 | リオネル メッシ | 7 | ||
3 | オリヴィエ ジルー | 4 | ||
3 | フリアン アルバレス | 4 | ||
5 | コーディ ガクポ | 3 | ||
5 | ブカヨ サカ | 3 | ||
5 | リシャルリソン | 3 | ||
5 | ゴンサロ ラモス | 3 | ||
5 | アルバロ モラタ | 3 | ||
5 | マーカス ラッシュフォード | 3 | ||
5 | エネル バレンシア | 3 |