REPORT 日本代表レポート
日本代表レポート:第4回6/5(火)
W杯は挫折に次ぐ挫折…香川真司はロシアを笑顔の舞台に変えられるか
これまでのところ、香川真司はワールドカップで悔しい思いばかりしてきている。
最初の苦い経験は今から遡ること8年前、まだ恐れを知らぬ21歳の時だった。当時の岡田武史監督に抜擢され、初の平成生まれの代表選手となった香川は超新星としてステップを順調に駆け上がっていくかと思われた。
だが、ワールドカップの半年前に右足を手術をしなければいけない状況に直面し、なんとか2月には復帰を間に合わせたものの、南アフリカワールドカップの登録メンバーに入ることはなかった。サポートメンバーとして帯同することになったが、戦前の予想を覆して本大会で快進撃を見せたチームの間近にいながら、しかし決してそこには加われないという現実は「すごく悔しかった」。
その経験を糧に4年後の飛躍を誓った香川は、ドルトムントで旋風を起こす大活躍を見せ、代表でも瞬く間に主軸としての立場を確立していった。アルベルト・ザッケローニ監督は「デル・ピエロのようになれる」と香川のセンスを高く評価し、左サイドで起用。トップ下の本田圭佑、左サイドバックの長友佑都と連動して仕掛ける攻撃はザックジャパンの代名詞になった。
しかし、躍進が期待されたブラジルワールドカップで待っていたのは、絶望だった。初戦のコートジボワール戦では、守備の穴として狙い撃ちされ、実際に左サイドからチャンスメークされて逆転負け。続くギリシャ戦はまさかのスタメン落ち。コロンビアとの最終戦では先発復帰したものの、1-4の惨敗を喫した。「勝つことを目標にやってきて、でも1勝もできなくて、それが結果として残ったので、ただ悔しい」。敗退直後、香川はそういって肩を落としていた。
ワールドカップでの悔しさは、ワールドカップで晴らすしかない。だが、ロシアでの前途は多難だ。大会まであと2カ月という段階になってバヒド・ハリルホジッチ監督が電撃解任。これまで積み上げてきたものが本番直前でリセットされる事態になった。西野朗・新監督は“日本らしいサッカー”を指針に掲げ、前任者とは異なるスタイルを模索しているが、残された時間は限られており、雲行きは怪しい。
香川本人の調子も気になるポイントだ。今年2月に痛めた左足首の回復が予想以上に遅れ、西野監督が5月頭に視察を行った時には、間に合わない可能性もあると感じたほとだった。その後、なんとかブンデスリーガ最終節で3カ月ぶりの復帰を果たし、5月30日のガーナ戦でもピッチに立つことはできた。
ケガで離脱するまでは、抜群のパフォーマンスを見せていた。ドルトムントでは監督交代を機に存在感を高め、7試合で3ゴール・2アシストと結果も出していた。西野監督が中盤でパスをつなぐ、ザックジャパンのようなスタイルを目指そうとしている以上、狭いスペースで違いを生み出せる“本来の香川”が必要になってくるだろう。指揮官も「彼の独特な感覚、センスが高まっていくと考えている」とさらに状態を上げてくることを期待している。
ワールドカップでは悔しい思いをしてきた。「ブラジルのピッチに立って得た悔しさ、あの結果が自分たちを強くしてくれた。それをぜひロシアで証明したい」。その道のりは険しいと言わざるを得ない状況だが、今度こそ笑顔で振り返ることができる大会にしたい。
text by 神谷正明
STANDINGS順位表
RANKING得点ランキング
順位 | 選手 | 得点 | ||
---|---|---|---|---|
1 | キリアン エムバペ | 8 | ||
2 | リオネル メッシ | 7 | ||
3 | オリヴィエ ジルー | 4 | ||
3 | フリアン アルバレス | 4 | ||
5 | コーディ ガクポ | 3 | ||
5 | ブカヨ サカ | 3 | ||
5 | リシャルリソン | 3 | ||
5 | ゴンサロ ラモス | 3 | ||
5 | アルバロ モラタ | 3 | ||
5 | マーカス ラッシュフォード | 3 | ||
5 | エネル バレンシア | 3 |