REPORT 日本代表レポート
日本代表レポート:第6回6/7(木)
セネガルの怪物マネ、驚異的な速さと巧さでDFを無力化するストライカー
ずいぶん前、長谷部誠が雑誌か何かで「技術はフィジカルで抑えられてしまう」といったような話をしていた。実際、その通りで、とりわけプレーのインテンシティが最も高まるアタッキングサードや、ゴール前での攻防でそれは顕著に表れている。
逆に言えば、ゴールに直結するような働きが期待されるアタッカーに、前提として必要とされるのがフィジカル能力の高さだ。いま現在、世界のトップレベルで活躍しているFWを見ると「うまいだけ」の選手はまずいない。ほぼ、みんな「速い」か「強い」し、身も蓋もない話ではあるが、一流アタッカーの多くは「速くて、強くて、うまい」のだ。
そして、フィジカル能力の中で相手守備者にとって、最もやっかいなのが「速さ」である。反応したときにはもう相手は先に行っている、触れもしなければ対処しようがない。遅れていって、ファール覚悟のプレーすら届かないのであれば、もうお手上げである。
セネガルの中核であるサディオ・マネは世界トップクラスのスピードを誇る怪物だ。リバプールが誇る快速ウィンガーとスピード勝負で互角に渡り合える選手は極めて少なく、だからこそセンセーショナルと言えるほどのパフォーマンスでサッカーシーンを沸かせている。スペースで「よーい、どん」の勝負をさせたら彼の独壇場だ。
厄介なのは、決して速いだけの選手ではないことだ。スピードだけであれば、その土俵で戦わなければいい。つまり、スペースを消して走れないようにすればいい。しかし、マネは足元の技術も高く、密集地帯でボールを受けることも、その局面を打開することも簡単にやってのける。初速ゼロからの加速、急停止、凡人がマネをしたらケガをしそうな急速な方向転換など天性の身体能力を生かしたドリブルと、そのスピードの変化の中でもボールが暴れない技術で対峙するDFを無力化していく。
さらに相手を困らせるのは、マネは守備のクオリティも非常に高いという点だ。昨今は「トランジション(攻守の切り替え)」という言葉が市民権を得ているが、絶え間なく入れ替わる攻守のなかで局面が動く現代のサッカーにおいて、攻撃の選手にはファーストディフェンダーの役割が求められる。
マネのスピードと知性に裏付けされたプレッシングは世界トップレベルの威力を誇る。今季のチャンピオンズリーグ決勝でも、ワールドクラスのアタッカーと何度もやりあってきた内田篤人が「神」と讃えたレアル・マドリードのスペイン代表イスコからあっさりとボール奪取していた。
マネは天から授かったスピードという武器を最大限に有効活用して攻撃でも守備でも違いを生み出せる、まさにモダンフットボールの申し子のようなアタッカーである。
text by 神谷正明
STANDINGS順位表
RANKING得点ランキング
順位 | 選手 | 得点 | ||
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1 | キリアン エムバペ | 8 | ||
2 | リオネル メッシ | 7 | ||
3 | オリヴィエ ジルー | 4 | ||
3 | フリアン アルバレス | 4 | ||
5 | コーディ ガクポ | 3 | ||
5 | ブカヨ サカ | 3 | ||
5 | リシャルリソン | 3 | ||
5 | ゴンサロ ラモス | 3 | ||
5 | アルバロ モラタ | 3 | ||
5 | マーカス ラッシュフォード | 3 | ||
5 | エネル バレンシア | 3 |