REPORT 日本代表レポート
日本代表レポート:第14回6/24(日)
必勝で臨むと危険すぎるセネガル戦 「自分たちのサッカー」よりも「あえて持たせるサッカー」を
日本はセネガルに勝てばコロンビア戦に続く白星で勝ち点6になり、決勝トーナメント進出に大きく前進する。当然、セネガル戦の勝利が最良の結果ではある。ただ、ここは引き分けでも十分と考えた方がいい。
もし、セネガルと勝ち点1を分け合うことになれば、日本の勝ち点は4となり、首位を争うセネガルとの差はないまま。また、日本が第3戦でぶつかるポーランドが同日の試合でコロンビアを下したとしても勝ち点3にとどまり、日本はポーランドと引き分けでも決勝トーナメントに進めるという有利な状況になる。一方で、セネガル戦で黒星を喫してしまうと、日本はポーランドに勝たなければいけないシチュエーションになる可能性もあり、条件が厳しくなる。
西野朗監督は前日の記者会見で「コロンビア戦のハーフタイムでも選手の中から『引き分けでいい、リスクを負わない』という声も聞こえたが、私は勝たないといけない、勝てるゲームだと言って、勝ちにいく戦術を伝えた。3戦目は敗者復活のゲーム。2戦目で決めないといけない。リスクがあっても勝利を目指すべき」と語ったが、必勝態勢で臨むのは考えものだ。

一方で、選手たちからはコロンビア戦後に「最悪、引き分けでもいいと思って戦っていた」という話が多く聞かれた。セネガル戦も同じように、選手たちが試合の状況を見ながら、黒星という最悪の結果を避けるために冷静な判断で戦っていく必要がありそうだ。
セネガルはグループステージ最大の難敵と捉えるべきであり、日本選手の間でもその認識は広まっている。アフリカ勢特有の圧倒的な身体能力の高さに加え、選手のほとんどが欧州のクラブでプレーしていることもあって、組織的に戦うことにも順応できているのがやっかいなのだ。「個の能力は高いけどバラバラ」というステレオタイプには当てはまらない。
西野監督も「肉体的な強さだけではなく、オーガナイズもされている。個々の強さ、速さを生かして攻撃権を得るための守備組織、ディシプリンがある。個々の選手への対応はできる部分もあるが、チームへの対応には難しさを感じる。ウィークポイントはなかなかない」とセネガルの実力は理解している。初戦で戦ったポーランドは欧州でも実力の高いチームだが、それでも個と組織が融合したセネガルのチーム力に屈した。日本はなおさら、勝ち点1でもOKと割り切った方がいい。白星の深追いは危険だ。
そもそも、セネガルはタレントの質自体も高い。エースのサディオ・マネは今季リバプール(イングランド)で大ブレークした傑物であり、天性のスピードと超人的な身体能力を生かした突破力とフィニッシュを誇るワールドクラス。また、最終ラインの門番として君臨するカリドゥ・クリバリは現在世界最高のDFとの呼び声も高い実力者である。ほかにも、欧州で活躍している選手たちが主力を担っており、全体的な選手の質では日本を大きく上回る。

そのセネガルに対し、日本が真っ向勝負を挑んでも勝ち目は薄いだろう。中盤でパスをつないで相手の守備を攻略しようという“日本らしいサッカー”を展開して前がかりになったところでボールを失えば、電光石火のカウンターの餌食になる。セカンドボールの攻防でも、勝てる見込みは高くない。
特に、セネガルは中盤にバドゥー・エンディアイエ、イドリッサ・ゲイエ、シェイク・クヤテといったデュエルに滅法強い、身体能力抜群のMFを擁している。彼らのプレッシングのスピードは尋常ではないため、球際の攻防を避けるのは難しく、そうなった場合にデュエルで彼らに勝つのは困難だ。仮にその包囲網を突破できたとしても、その後ろにはクリバリを筆頭としたフィジカルモンスターが控えている。

セネガルはボールを回収したら素早く前線のタレントにボールを入れてくる。マネを筆頭にスピードと強さのある選手に対し、後追いの守備ではまず止められない。パスワークで崩そうとする勝負は分が悪すぎる。
日本はあえてセネガルにボールを持たせるという心づもりでいた方が、攻略の糸口は見えてくるだろう。カウンターだけでなく、ボール保持にも自信のあるセネガルは、最終ラインのクリバリがボールを前に運び、自分の背中のスペースを空けることも珍しくない。また、高い位置まで顔を出したサイドの選手も、守備に戻る際にしばしば力を抜くケースが見られる。セネガルの選手は“前に出ていく守備”では圧倒的な強さを見せるが、“追いかける守備”では脆さを見せる可能性がある。
日本としてはミドルゾーンでコンパクトな陣形を保って待ち構え、ボールを奪った瞬間に、前掛かりになったセネガルの背後を突くショートカウンターを狙いたい。どのみち中盤でのデュエルはまず避けられないので、一対一で負けたとしてもすぐさまカバーできる形で迎え撃つ。そして、相手の陣形が整っていないうちに急襲する。それが勝ち点を積み重ねられる確率の一番高い戦い方だろう。
text by 神谷正明
STANDINGS順位表
RANKING得点ランキング
順位 | 選手 | 得点 | ||
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1 | ![]() |
キリアン エムバペ | ![]() |
8 |
2 | ![]() |
リオネル メッシ | ![]() |
7 |
3 | ![]() |
オリヴィエ ジルー | ![]() |
4 |
3 | ![]() |
フリアン アルバレス | ![]() |
4 |
5 | ![]() |
コーディ ガクポ | ![]() |
3 |
5 | ![]() |
ブカヨ サカ | ![]() |
3 |
5 | ![]() |
リシャルリソン | ![]() |
3 |
5 | ![]() |
ゴンサロ ラモス | ![]() |
3 |
5 | ![]() |
アルバロ モラタ | ![]() |
3 |
5 | ![]() |
マーカス ラッシュフォード | ![]() |
3 |
5 | ![]() |
エネル バレンシア | ![]() |
3 |