見どころ・戦評
[J1リーグ3節]柏 1-3横浜FC/7月8日/三協F柏
【チーム採点・寸評】
柏 5
上記の図で4-3-1-2とした基本布陣は3-4-1-2とも読み取れる変則システムで、守備時には5-3-2のシステムに変えて臨機応変に対応した。しかし、とことんプレッシングがハマらなかった。小林を神谷に代えてからようやくプレスが噛み合って同点に追いついたかと思えば、後半開始早々の失点で勝ち越されてまた乱れる。そもそも運動量で劣っていた点も敗因だろう。
【柏|採点・寸評】
GK
17 キム・スンギュ 5
2、3失点目はかなりのボールスピードで突如コースが変わったので、さすがに防ぐのは厳しかったかもしれない。ただ、1失点目の1対1は、技ありの浮き球シュートを決めた斉藤光のほうが一枚上手だった。
DF
6 高橋峻希 5.5(62分OUT)
ウイングバックとしてプレーするシーンもあった。しかし、オフェンスでは相手の激しいプレッシングに苦しんだか。守備では1対1であまり負けなかった。
15 染谷悠太 4
2失点目は山下との連係ミスからゴール前を攻略され、85分にはクリアミスでオウンゴール。いくら連戦とはいえ低調な出来だったと言わざるを得ない。
50 山下達也 4(62分OUT)
1失点目の場面では、戸嶋のミス直後のリアクションが遅れる。斉藤光に先手を取られ、ゴールを許してしまった。2失点目もマークを受け渡せば防げただろう。
4 古賀太陽 5
47分には身体を投げ出して松浦のシュートをブロック。しかし、相手へボールが渡ってしまい、結果的には失点してしまった。
MF
28 戸嶋祥郎 4.5
豊富な運動量を発揮していたものの、44分には中盤でボールをかっさらわれる。そこからの流れで先制点を許してしまった。
5 小林祐介 5(28分OUT)
いくら戦術的理由があったにせよ悔しい28分の途中交代。プレスがハマっていなかったことが要因とみられるが、ならば味方を声をかけるなどピッチにいる間に改善したかった。
18 瀬川祐輔 5.5(73分OUT)
守備時には左ウイングバックにシフトし、変則システムに柔軟に対応。攻撃でもアクティブに動いてチャンスに絡んだが、ゴールやアシストはできなかった。
10 江坂 任 6
トップ下で文字通り攻撃の中心となり、ゲームメイクからチャンスメイクまでこなす。19分にはクロスから呉屋の決定機を演出した。
FW
19 呉屋大翔 6(73分OUT)
4分、ミドルレンジから鋭いシュートを放つ。6分にもペナルティエリア内からゴールを狙う。16分のチャンスはシュートミス、19分のヘディングはポストに嫌われた。だが、44分には相手DFを背負いながらも頭で見事な同点ゴールを決めた。
14 オルンガ 5.5
最終ラインの裏への抜け出しは相方の呉屋に任せ、2トップの関係性を意識してこの日はポストプレーヤーとして身体を張る。19分のこぼれ球はモノにしたかった。
交代出場
MF
39 神谷優太 6(28分IN)
守備のタスクをこなしつつ、縦横無尽に動いて攻撃にも積極的に絡んだ。44分には鋭く、かつ美しいクロスで呉屋の同点ゴールをアシストした。
DF
13 北爪健吾 5.5(62分 IN)
アグレッシブに攻め上がり、右サイドの攻撃を活性化。ただ、同点に追いつくための切り札にはなれなかった。
MF
3 高橋祐治 5.5(62分 IN)
競り合いや球際をよく戦っていた。直接関与していないとはいえ、85分にチームが失点してしまっている。DFとして悔しいはずだ。
FW
22 マテウス・サヴィオ 5.5(73分IN)
バイタルエリアでパスを引き出して攻撃に絡む。76分のミドルシュートはゴール右に外れた。
FW
31 ジュニオール・サントス 5.5(73分IN)
74分には最前線で身体を張りつつ、北爪へ絶妙なヒールパス。77分にはゴール前で決定機を得たが、決め切れなかった。
監督
ネルシーニョ 5.5
試合後に「ゲームの入りが非常に悪く、ポジショニングがなかなか良くなかったせいか守備がハマらない。今日は戦術的にも技術的にもレイソルにとっては思わしくない結果」と認めたとおり、結果で負けただけでなく、ゲーム内容も決して良い試合にはできなかった。
【チーム採点・寸評】
横浜FC 7.5
組織力とハードワークで掴んだ会心の勝利。敵のプレッシングをかわすビルドアップ、前線からの激しいプレス、攻守ともに相手を上回っていた。無観客のピッチで響き渡った味方同士の指示や鼓舞の声からも、チームワークの良さはよく伝わってきた。
【横浜FC|採点・寸評】
GK
44 六反勇治 6
ロングボールに逃げず、臆せずビルドアップに参加していたのは良かった。失点はポストに当たってゴールに吸い込まれた見事なシュートなので、相手を褒めるべきかもしれない。
DF
29 星キョーワァン 6
オルンガと互角に戦った地上戦と空中戦の強さは評価に値。特大のポテンシャルを感じたほどだった。ただし、16分にGKへのバックパスを相手にカットされたり、失点シーンではボールウォッチャーになっていたり、課題も残したので及第点止まりに。
5 田代真一 6
オルンガにも激しくチャージし、あまり自由を与えなかった。62分に瀬川のシュートをブロックしたプレーも素晴らしい。攻撃の組み立ても落ち着いていた。
4 小林友希 6
攻撃時に秀逸なポジショニングを取り、左サイドの攻撃を活性化。守備でも球際をよく戦っていた。
MF
8 佐藤謙介 6.5
アンカーで丁寧にビルドアップしつつ、精力的にセカンドボールも拾っていた。85分にはFKで絶妙なボールを送り、オウンゴールを誘発した。
3 マギーニョ 6(51分OUT)
失点シーンは星のマークだったかもしれないが、カバーリングが遅れて競り負けたことも事実。ただ、47分にはセカンドボールに反応して2点目に絡むなど、攻撃面は評価したい。
14 志知孝明 6(84分OUT)
縦への突破だけでなく、中央にも切り込み、ボールを持てば多くの選択肢を持っていたのは面白かった。そのプレーを直接、ゴールにつなげられれば良かったが。
6 瀬古 樹 6.5
豊富な運動量を発揮し、21分には戸嶋からボールを奪って先制点に関与。危険察知能力が高く、プレスバックからピンチの芽を摘んだシーンもあった。
7 松浦拓弥 7.5
21分には、優しいスルーパスで斉藤光の先制点をアシスト。47分にはゴール前のルーズボールに反応して放ったシュートが一度はブロックされたが、すかさず立ち上がってマギーニョのシュートのコースをヒールで変え、勝ち越し点を決める。MOMの斉藤光とほぼ同等のハイパフォーマンスだった。
FW
MAN OF THE MATCH
23 斉藤光毅 7.5(79分OUT)
21分、一瞬の隙を見逃さずに最終ラインの裏へ抜け出す。スルーパスへの反応から相手GKとの1対1までとにかく冷静で、価値ある先制ゴールを奪取。ペナルティエリア内で潰れて勝ち越し点にも絡み、ストライカーとして十分に評価できる活躍ぶりだった。先制点の重みや相手を翻弄したドリブルなども評して、松浦と迷ったすえにMOMに。
9 一美和成 6.5(84分OUT)
最前線で身体を張って起点を作る。47分にはハイボールを頭でフリックして斉藤光へつなぎ、このワンプレーから勝ち越しゴールが生まれた。斉藤光とのコンビネーションは常に素晴らしかった。
交代出場
MF
27 中山克広 5.5(51分IN)
途中出場で右ウイングバックに入ったものの、そもそもサイドアタッカーなので守備時のポジショニングに苦労していた印象。59分のチャンスはモノにできなかった。
MF
15 齋藤功佑 ―(79分IN)
守備に奔走しつつ、タイミングの良い抜け出しもあったが、残念ながらボールは入ってこなかった。
FW
16 皆川佑介 ―(84分IN)
プレッシングとポストプレーで奮闘し、逃げ切りに貢献した。
DF
26 袴田裕太郎 ―(84分IN)
ピッチに入ってからすぐにアグレッシブにプレーし、84分にファールを誘ってFKを獲得。これがダメ押し弾につながった。
監督
下平隆宏 7.5
プレス時の掛け声がピッチにかなり響き渡った。もちろん、その指示も的確で、おかげで守備がよくハマっている。無観客のおかげでよく聞こえたことを差し引いても、かなり効いていたので高く評価した。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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