見どころ・戦評
[J1リーグ3節]名古屋2―2G大阪/7月8日/豊田ス
【チーム採点・寸評】
名古屋 5
先制を許すも逆転する力強さを見せ、後半も相手をほぼ完璧にコントロールしたはずだった。しかし予想していたパワープレーに屈し、後味の悪いドローにチームはややアンニュイな表情を浮かべた。
【名古屋|採点・寸評】
GK
1 ランゲラック 5.5
今日は主だったセービングのシーンは少なかったが、相手のハイボールが増えた後半には空中戦で果敢に競り合いチームを鼓舞。2失点はノーチャンスで、ただただ失点の悔しさだけが残った。
DF
3 丸山祐市 5.5
守備だけではなく、無観客だからこそ改めてわかる豊富なコーチングでチームを牽引。それだけに最後の失点はもったいなく、コンディション面でもさらに粘り強さを出していきたいところ。
4 中谷進之介 5.5
冷静な判断力で若い成瀬を引き上げつつ、自らも身体を張った守備を見せた。持ち前のカバーリングに対するスプリント力も上がってきた印象なだけに、失点の場面が悔やまれる。
23 吉田 豊 5.5
右サイドに偏りがちな攻撃時には守備のバランスを取り、G大阪のロングボールには身体を投げ出すようにして果敢に競り合った。2失点ともに絡んだが、献身的な姿勢の副産物だ。
26 成瀬竣平 6(85分OUT)
この試合では思い切りの良いパスが目立った。得点機2つに絡む縁の下の力持ちぶりを発揮し、敵陣で味方を生かす効果的なダイレクトパスは、今後の新たな武器となる予感も。
MF
2 米本拓司 6
稲垣とのコンビで中盤を大きくカバーする守備網を形成。攻守のつなぎにも積極的で、サイドを中心に走り回り攻撃の枚数増に貢献した。
10 ガブリエル・シャビエル 6 (69分OUT)
好きだと語るトップ下起用に応え、一時は逆転となるゴールを決める。序盤はリズムが出なかったが、動き出しとサイドに流れてのボールキープを起点にゲームメイカーとしての魅力を存分に発揮した。
15 稲垣 祥 6
G大阪の激しいボールアプローチにも負けず、時にマーカーを引きずりながらボールを敵陣へと持ち込んだ。1点目の場面では相手のクリアにギリギリ足を伸ばし、マテウスの決定機を粘り強く演出。
FW
11 阿部浩之 6(85分OUT)
この日は一貫して“本職”のサイドハーフでプレー。前半は影が薄かったが、リードして試合をコントロールし始めた後半は、憎らしいまでの試合巧者ぶりを見せた。
16 マテウス 6
まだまだコンディションが上がり切っていないのか、爆発的なスピードとドリブルは鳴りを潜める。しかし同点の場面では苦手な右足をコンパクトに振り抜き、ストライカー顔負けのゴールを決めてみせた。
44 金崎夢生 6(55分OUT)
本来の出来とは程遠いながらも、前線で身体を張り、相手に食って掛からんばかりの気迫で相手DF陣を牽制し続けた。G・シャビエルへのアシストは実にオシャレだった。
交代出場
FW
17 山﨑凌吾 5.5(55分IN)
疲労が色濃い金崎に代わってピッチに入ると、守備の積極性とポストプレーでリードの展開を力強くサポート。もっと自らゴールを狙っても良いと思うが、チームの流れを壊さないプレーに徹した。
FW
25 前田直輝 5(69分IN)
リードを盤石とするため山﨑とのツートップで前線に運動量をもたらしたが、2失点目の直前に放ったシュートに至るまでの一連のプレーは、ターンが素晴らしかっただけにやや軽率の感も。
MF
14 秋山陽介 ―(85分IN)
前節同様、終盤の締め役として左サイドバックに入ったが、同点に追いつかれた場面ではパトリックとのミスマッチにみすみすヘディングパスを許した。
MF
8 ジョアン・シミッチ ―(85分IN)
1点差を守りきるべく米本、稲垣との3ボランチを結成。空中戦の強さを買われての投入だっただけに、最後の場面ではパトリックとのマッチアップをチームが判断すべきだったか。
監督
マッシモ・フィッカデンティ 5.5
失点の仕方がやや気になるが、得点の形は良く、リードを奪った後の試合展開も安定していた。体力面での不安がたたってか今回は終盤に追いつかれるも、試合内容としては概ね狙い通りで好感が持てる。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
G大阪 6
先制の流れから失速し、土壇場で追いついた。ダイナミックな選手交代とシンプルでハッキリした作戦遂行は力強い反面、ややワンパターンに陥りがちなのは気になる。
【G大阪|採点・寸評】
GK
1 東口順昭 5.5
1失点目は粘ったが惜しくも詰められた。ビルドアップへの参加も含めて貢献度は高かったが、2失点はGKとして反省点の方が多いか。
DF
5 三浦弦太 5.5 (85分OUT)
攻撃の起点となるロングフィードを連発し、序盤は特に名古屋の守備陣を振り回した。先制点も決めるなどチームを引っ張り、ハードワークからか足をつって試合終盤に交代。
19 キム・ヨングォン 5.5
パワフルな左足フィードは時間経過とともに徐々にその数を減らしていった。崩されたのが自分のサイドが多かったのは反省点か。
27 髙尾 瑠 5.5
3バックの位置から積極的な攻め上がりを見せ、同サイドの名古屋の攻撃には蓋をした。先制の場面も最初にこぼれ球に反応。後半は足をつりながらも奮闘し、4バック変更後は右サイドとセンターの二役をこなした。
MF
8 小野瀬康介 5.5
持ち前のバイタリティーをなかなか見せられず、前半の存在感は薄かった。後半は劣勢の最中で機動力を生かしたプレーで反攻に出るなど意地を見せた印象だ。
14 福田湧矢 5.5
マテウスとのマッチアップは攻守両面で主導権を握っていたが、決定打に欠けた。しかし後半終了間際に同点弾を呼び込むロングフィードで、チームの勝点1獲得に貢献した。
15 井手口陽介 5.5
運動量豊富に中盤と前線をつないでいたが、相手の守備が安定し出すとプレーの効果率が下がった。ポジションをアンカーに下げた後半は、鋭い低空フィードで攻撃の目先を変えつつ反撃の時を見計らった。
21 矢島慎也 5.5(71分OUT)
アンカーの位置でバランスを取るも、ミスからのショートカウンターへの対応が多く前半は奔走。ポジションを井手口と入れ替えた後半には前への積極性を見せはした。
FW
33 宇佐美貴史 5.5 (61分OUT)
ボールを持てば怖さが出るが、ロングフィードが通らなくなってくるにつれてプレー機会自体が減っていった。劣勢の中で、3人同時交代の一人としてピッチを後に。
11 小野裕二 5.5(61分OUT)
インサイドハーフの位置で、強度の高いプレーを見せるも、同点になって以降は守備に追われることが増えた。身体を張った60分間は骨折を抱えているとは思えなかった。
9 アデミウソン 5(61分OUT)
ボールタッチの数がなかなか増えず、リズムが出なかった。後半最初にはオーバーヘッドでゴールを襲ったが、本来の能力を考えれば物足りないパフォーマンスに終始した。
交代出場
FW
18 パトリック 6(61分IN)
パワープレーも含めた反攻の切り札として投入され、空中戦の強さを武器に名古屋のDF陣を脅かし続けた。同点ゴールを演出するヘディングは見事の一言。
MAN OF THE MATCH
FW
39 渡邉千真 6.5(61分IN)
パトリックとのツートップで同点、逆転の仕事を託されてピッチに登場。的確なポストプレーで攻撃のリズムを作ると、終了間際に値千金の同点ゴールを冷静に流し込んでみせた。
MF
10 倉田 秋 5.5(61分IN)
中盤でのボール運びを促進し、やや単調になっていた攻撃に推進力を与えた。前線に直接かかわる仕事は少なかったが、流れを確実に引き戻す仕事をこなした。
MF
7 遠藤保仁 6(71分IN)
相手に振り回される展開を落ち着いたパスさばきで一転させた。彼の投入後、ガンバは間違いなく活気づき、同点劇への流れを生み出した。
FW
29 山本悠樹 ―(85分IN)
足をつって退場した三浦に代わって出場。中盤をかき回し、同点への流れにしっかり乗ってプレーした。
監督
宮本恒靖 5.5
先制するまでの流れは良かったが、徐々に攻撃が単調に。選手交代と布陣変更で変化をつけることには成功するも、チームとしてのゲームマネジメントをもっとコントロールしたいところ。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文●今井雄一朗(フリーライター)
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