見どころ・戦評
[J1リーグ5節]名古屋1-0鳥栖/7月18日/豊田ス
【チーム採点・寸評】
名古屋 6.5
想定内の劣勢を無難にやり過ごし、1トップのチョイスで変化をつけた攻撃で決勝点を奪う鮮やかな手際を見せた。前田の復調は今後に向けても朗報だ。
【名古屋|採点・寸評】
GK
1 ランゲラック 6
決定機は後半にただ一つ。セーブ機会自体が少なく、後半の落ち着いたボール回しにも冷静に対応し、ほぼ穏やかな90分間を過ごした。
DF
26 成瀬竣平 6
防戦一方の前半にあっても、なるべく高い位置でのプレーを続けた勇敢さは成長の証か。守備の対応も落ち着いてきた印象で、ベースアップを感じさせる試合でもあった。
3 丸山祐市 6
前半の守備の対応に我慢強さを見せ、クリアとフィードの判断も正確。フィードの精度にややらしさを欠いたが、2試合連続の無失点をきっちり演出した。
4 中谷進之介 6
豊田とのバトルでは熱くなりすぎてイエローカードを頂戴した。しかし対人プレーの力強さはチームに勇気を与え、我慢の勝利にきっちり貢献している。
23 吉田 豊 6.5
鳥栖の攻撃が機能不全になったのも、起点としたいサイドの攻防でこの男がことごとく勝ったから。無類のボール奪取能力はチームに安心感をもたらした。
MF
2 米本拓司 6(90分OUT)
稲垣祥と組んで中盤のボールに素晴らしくプレッシャーをかけ続け、攻撃のつなぎにもよく顔を出した。じっくりとした攻めの中でも堅実なパス回しを見せ、チームを落ち着かせた。
11 阿部浩之 6.5
押し込まれた前半には守備で役割を果たし、慣れた後半から徐々に能力を誇示。前田へのアシストパスは合わせるだけの絶妙な放物線を描いた。
15 稲垣 祥 6.5
運動量は連戦の中で衰えず、相手の勝負パスに立ちはだかる勘の良さでも守備陣を大いに助けた。ゴール前のチャンス拡大にとフリーランを惜しまず、八面六臂の活躍。
FW
16 マテウス 5.5(90分OUT)
本来の瞬発力がなかなか見られないが、それでもスピードはピッチ内随一。前半は孤立する場面が多かったが、リードを奪ってからは伸び伸びとプレーした。
17 山崎凌吾 6(56分OUT)
指揮官からのミッションは相手のハードワークに対抗し、ゲームを作ること。得点機を狙いつつ仕事はしっかりと果たし、殊勲の男の舞台を整える仕事人ぶりは評価してしかるべき。
27 相馬勇紀 6
苦しい前半の中にあって、彼にボールが渡った時にはチャンスの匂いが漂った。ハードマークに倒れる場面が多かったこの日は、肉体的にも闘った印象が強い。
交代出場
MAN OF THE MATCH
FW
25 前田直輝 6.5(56分IN)
前節出場なしの悔しさも相まってか、ピッチ登場からフルスロットルで試合の流れを一変させた。決勝点のボレーは彼にとっては珍しいプレーだが、それだけ意地とプライドを感じる美しい一撃となった。
MF
8 ジョアン・シミッチ ―(90分IN)
最後の時間稼ぎとクローザー役として登場。ボールタッチも数えるほどだが冷静に対応した。
MF
10 ガブリエル・シャビエル ―(90分IN)
アディショナルタイムの4分をプレー。時間を上手く使い、無難に1-0の勝利を締めくくった。
監督
マッシモ・フィッカデンティ 6.5
相手の特徴を分析し、山崎と前田の1トップの使い分けも想定内で勝因となった。準備の通りに試合展開を組み立てていける手腕はお見事。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
鳥栖 5
システマチックなポゼッションはかなりの効力を発揮したが、フィニッシュまでの流れが希薄で開幕以来の無得点期間を更新。攻守ともに好印象のチームだけに、得点への形を生み出したい。
【鳥栖|採点・寸評】
GK
18 高丘陽平 5.5
セーブの機会は数えるほど。ビルドアップへの参加は積極性、貢献度ともに高く、縦方向への“飛ばし”パスは見事の一言。失点以外の決定機にも、機敏に反応した。
DF
3 エドゥアルド 5.5
常に遠くを見る展開力とキック力はピッチ内でも随一。山崎のポストプレーもしっかり抑え込んだが、前田投入後はディフェンスラインを落ち着かせることができなかった。
28 森下龍矢 5.5(78分OUT)
対面のアタッカーたちへの対応は冷静沈着。攻撃参加も多かったが、マテウスや相馬勇紀との1対1で対人の強さを発揮した。
6 内田裕斗 5.5
ビルドアップからオーバーラップまでをスムーズにこなしたが、一列前の小屋松とのコンビネーションはもっと効果を上げられたはず。
MF
36 高橋秀人 5.5
名古屋のカウンターへの対応を含め、最終ラインの統率に力を見せた。第二の司令塔としての存在感も光った。だが失点の場面含め、裏を取るプレーへの順応が遅れたのは痛い。
4 原川 力 6
インテンシティ、スピード、攻守両面での貢献度すべてで素晴らしいパフォーマンスを見せたが、フィニッシュへの流れを生み出すことができず。
25 アン・ヨンウ 5.5(56分OUT)
右サイド深くでチャンスメイクを担ったが、なかなかポゼッションからの勝負パスが届かず、力を発揮できなかった。スピードを生かす場面がもっと欲しかった。
41 松岡大起 5.5
原川と同様に強度の高いプレーで中盤の主導権を握ったが、ケアレスミスも多く、リズムをつかみきれなかった印象。もう一つ前のエリアで仕事がしたい。
50 梁 勇基 5.5(56分OUT)
ビルドアップ重視の展開の中、押しては引く駆け引きの巧みさで多くのボール保持を実現。しかし後半は相手に押し返され、攻撃の厚みを出せなかった。
FW
11 豊田陽平 5.5(71分OUT)
ロングフィードへの反応もさることながら、苛烈なまでのフォアチェック、ハイプレスのスイッチ役としての献身が際立った。しかしFWとして肝心のシュートに至らず。
22 小屋松知哉 5.5(78分OUT)
古巣対戦でカットインなどチャンスメイクに精を出したが、周囲のフォローも足りず孤立した。スピードを生かすプレーにもサポートが欲しいところ。
交代出場
FW
9 チアゴ・アウベス 4.5(56分IN)
ウイングの位置からスタートし、センターFWを経て再びウイングへ。しかしハードマークに手を焼き、83分に二度目の警告を受け、レッドカード。反撃を期するチームに水を差した。
MF
23 本田風智 5(56分IN)
FWに近いトップ下のような形で反撃を担ったが、相手の先制点でチームのボール支配率も落ち、効果的にボールを触れなかった。
FW
7 金森健志 5(71分IN)
豊田に代わって投入され、左右のウイングポジションでプレー。だがボールがなかなか前線に運ばれてこず、プレー機会は数えるほど。
FW
20 レンゾ・ロペス 5(78分IN)
高さを生かしてパワープレー気味に起用されるも、競った回数は状況的にも少なすぎた。持ち味は出せずじまいだった。
DF
13 小林祐三 5.5(78分IN)
終盤に右サイドバックの位置に入ったが、劣勢の最中ではオーバーラップもままならず。相手の時間稼ぎへの対応が続いた。
監督
金 明輝 5
ポゼッションの組織的な動きや守備の激しさ、勝負を決める要素は持ち合わせているのにフィニッシュだけが遠い。この一点の改善でチームは劇的にも変わりそうだが、次節へのアプローチやいかに。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文●今井雄一朗(フリーライター)
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