見どころ・戦評
[J1リーグ12節]名古屋1-0川崎/8月23日/豊田スタジアム
【チーム採点・寸評】
名古屋 7
かなりのタフゲームになったが、金崎が決めた虎の子の1点を守りきり、今季負けなし10連勝の独走首位から勝利を得た。守備の狙い、粘り強さ、勝負強さ、すべてにおいて狙い通りの最高の試合に。
【名古屋|採点・寸評】
GK
1 ランゲラック 6.5
引いて守る展開はキーパーにとっては難しい場面も多いはずだが、冷静に、そして堅実にゴールを守り続けた。彼の存在感が川崎のシュートの決断を鈍らせたところも多分にあるはず。
DF
26 成瀬竣平 6
三笘とのマッチアップにはかなりの苦戦を強いられたが、ディフェンスラインの連係では穴を空けず。後半は1列前のポジションでも奮闘した。
4 中谷進之介 6.5
序盤はやや浮足立つところもあったが、最初のピンチを身体を張って防ぐと、あとは上り調子に。速さのあるパスワークを冷静に見極め、空中戦でも勝率高く鉄壁を築き上げた。
3 丸山祐市 6.5
常にDF陣を引き締めるコーチングを絶やさず、ポゼッションの部分でも中盤との良い関係性を築いた。フィードのミスはやや悪目立ちするも、ゴール前のトライアングルは強固そのものだった。
23 吉田 豊 6.5
サイドに起点を作りに来た川崎の目論見をことごとく潰して回る大活躍。マテウスが攻めに専念できたのも、彼のディフェンス力の高さがあってこそ。
MF
15 稲垣 祥 6.5
目が回るような相手のパスワークにも食らいつき続け、中盤での主導権を渡すまいと奮戦。連戦の疲労を感じさせず、決勝点の起点となるダイレクトパスなど、様々なシーンで貢献した。
10 ガブリエル・シャビエル 6(53分OUT)
トップ下の位置にはなかなかボールが入ってこず苦戦。それでもビルドアップへの加勢でなんとか相手に対抗しようとした。
8 ジョアン・シミッチ 6.5
持ち前のゲームメイク力、空中戦の強さは守りきる展開のなかでは欠かせない要素だった。後半になると相手のパスワークを寸断する賢いポジショニングでも勝利に貢献した。
FW
25 前田直輝 6(79分OUT)
サイドでのプレーはかなりの研究がなされ、いつものドリブル突破や勢いは見せられず。それでもチームのために攻守に運動量を上げ、組織に穴は空けなかった。
MAN OF THE MATCH
44 金崎夢生 6.5
ポストプレーではジェジエウのハードなマークに遭い、転倒すること数限りなく。それでも献身的にピッチを駆け抜け、守備もしながら決勝点をマーク。ゴールの価値は、守備陣を勇気づけるとともに、試合結果への影響力が恐ろしく大きかった。
16 マテウス 6.5(87分OUT)
自慢のスピードを攻守に惜しみなく使い、相手の虚を突く展開をきっちり金崎へのアシストに変えてみせた。セットプレーのキッカーとしても脅威となり、攻撃を彩った。
交代出場
FW
27 相馬勇紀 6(53分IN)
守備の展開が強まるなかで攻守に強度をもたらすべく投入された。やや軽いプレーもあるが、カウンターに彼がいることで川崎の攻勢に牽制はできていたはず。
DF
34 オ・ジェソク ―(79分IN)
右サイドバックに入り、粛々と守備対応していた。力強い攻め上がりでも相手の勢いを削いだ。
FW
17 山﨑凌吾 ―(87分IN)
プレー時間は短かったが、クリアが増える展開のなかで身体を張ってボールを保持。前線からのプレスでパワープレーも阻害し、良い仕事をした。
監督
マッシモ・フィッカデンティ 6.5
前週のルヴァンカップで得たものを元に、きっちり勝利へ向かう展開を作ってきた手腕は見事。限られた人材を駆使しての“金星”は、チームに大きな自信をまた一つ植え付けたに違いない。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
川崎 5.5
主導権はほぼ握っていたにもかかわらず、シュートにまで発展することが少なかったのが敗因か。攻守ともに何かを崩されたわけではなかっただけに、不完全燃焼感は強い。
【川崎|採点・寸評】
GK
1 チョン・ソンリョン 5.5
終始安定したゴールキーピングを見せたが、前半終了間際の一撃は彼にとっては不運。守備陣をよく鼓舞して戦うも、報われない結果に。
DF
13 山根視来 5.5
オーバーラップ、インナーラップともに効果的かつ積極的だったが、失点の場面はその背後を突かれた。追い上げる後半にもよく走ったが、あと一歩が及ばず。
4 ジェジエウ 5.5
金崎とのマッチアップでは圧倒的なフィジカルの強さを見せ、前に出ていくプレーでもチームに推進力を与えた。だが、焦れる後半の展開にはやや集中力を欠く場面も。
5 谷口彰悟 5.5
落ち着いた対応はカバーリング、対人ともに流石のもの。失点の場面は突発的なクロスにかぶり、手痛いミスとなった。
7 車屋紳太郎 5.5
三笘の1対1を手厚くサポートしつつ、前半は対面の前田をほぼ完封。追う展開のなかで後半は攻撃参加を増やして健闘したが、決定的な仕事はできず。
MF
6 守田英正 5.5
中盤の底で相手のキーマンを見張る役割を忠実に遂行。そこにとどまらないボックス・トゥ・ボックスの動きでチームを活性化。欲を言えばシュートの意欲が欲しかった。
22 下田北斗 5.5(HT OUT)
守田と脇坂の間で細かく動き回り、ボールの流れとリズムをコントロールした。だがフィニッシュにかかる部分へのかかわりが少なく、流れを変える交代の一人としてピッチを去った。
8 脇坂泰斗 5.5(HT OUT)
L・ダミアンとともに相手のボランチへのパスコースを切り、攻撃では運動量豊富にパスの受け手として奮闘。ドリブルにもキレがあったが、前半限りで交代となった。
FW
41 家長昭博 5.5(70分OUT)
独特の時間が流れるボールキープの間合いは、相手守備の存在を感じさせなかった。しかし分厚い名古屋の守備ラインの前にフィニッシュまで持ち込めなかった。
18 三笘 薫 6(73分OUT)
キックオフからまるで彼のところに吸い寄せられるようにボールが集まり、ドリブルと緩急をつけたパスで攻撃陣を牽引。後半は接触プレーで負傷退場し、状態が気がかりなところ。
9 レアンドロ・ダミアン 5.5(61分OUT)
ポストプレーヤーとしての顔とムービングFWとしての顔を使い分け、前線の起点に。守備でも勤勉に役割をこなした。フィニッシュに持ち込む形がもう少し欲しい。
交代出場
FW
30 旗手玲央 5.5(HT IN)
後半から下田に代わって投入され、左右両サイドを渡り歩いて反撃に精を出した。ドリブルのキレ、シュートへの意識ともに質も高かったが、名古屋の身体を張った守備に阻まれた。
MF
10 大島僚太 5.5(HT IN)
家長とのインサイドハーフのコンビは名古屋にとっては脅威でしかなかったが、フィニッシュを演出させてはもらえず。ミドルシュートの意識があればまた展開は変わっていたか。
FW
11 小林 悠 5.5(61分IN)
クロスが増えていた時間帯に満を持して登場するも、相手もそれを警戒してかシュート数はなかなか伸びず。競り合いの強さも見せたが、連係が繋がっていかなかった。
MF
25 田中 碧 5(70分IN)
インサイドハーフとしての出場で前線に多く顔を出したが、名古屋の守備陣を崩す方法を生み出せなかった。
FW
20 宮代大聖 5(73分IN)
負傷の三笘に代わってピッチに入り、右サイドで起点となってチームに勢いをもたらしたが、チャンスを生み出すアイデアは他の選手同様になかなか出てこなかった。
監督
鬼木 達 5.5
試合は支配し、攻守に安定してはいたが、失点後の巻き返しに向けての方策にやや乏しかった印象。攻撃面での采配でもっとバリエーションをつけたかった。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文●今井雄一朗(フリーライター)
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