見どころ・戦評
[J1第15節]川崎3-2神戸/9月9日/等々力
【チーム採点・寸評】
川崎 6.5
約2週間で神戸とは3試合目。やりにくさはあったはず。1-2で80分を迎え、負けを覚悟したが、そこから試合を引っくり返す逞しさ、選手層の厚さは見事! 中3日のゲームで疲れもあっただろうが、最後までハードワークを怠らない点に今季のチームの強さが窺える。もっとも3バック、ウイングバックを採用するチームへの対応策など少なくない課題が残るゲームでもあった。神戸が3点目を奪えなかった点に救われた面も。
【川崎|採点・寸評】
GK
1 チョン・ソンリョン 6
2失点はともに守備を崩された形。終盤にはサンペールのFKをセーブするなどリードをしっかり守った。
DF
13 山根視来 5.5
前半は連動した守備からボールを奪い、後半はゴール前で身体を張った。ただ後半は疲れからか、らしくないミスも。
4 ジェジエウ 6
快足と強靭なフィジカルぶりはこの日も健在。ただ守備のギャップを突かれた失点シーンは今後の反省材料だろう。
5 谷口彰悟 5.5
1失点目のシーンは珍しく相手に入れ替わられ、得点につなげられた。フィードで攻撃をサポートするも、2失点目も藤本に目の前で決められた。
2 登里享平 5.5(66分OUT)
相手のウイングバックの動きに苦戦した印象。左サイドで組んだ齋藤に後方から声をかけ、守備をコーディネートしたが、前半に足にトラブルを抱えていたか? いつものキレがなかった。2失点目も上手く西にパスを通された。
MF
6 守田英正 6.5
ここ数試合、先発を掴んでいるボランチはこの日もアンカーとして攻守に貢献。パスが乱れたシーンは修正点も、力強くボールを奪い、攻撃へとつなげた。1点目につながったPKも、後方からのパスでカウンターを導き、一気に攻め上がってミドルを放ち獲得した。
10 大島僚太 6.5
トラップ、パスセンスはやはり別格。決定機を仕留め切れなかった点はマイナスも、川崎になくてはならない存在だった。
MF
41 家長昭博 6.5(66分OUT)
前半のチャンスは、ほぼこの男を経由していたと言って良い。キープ力、ワンタッチのパス精度と、どれも秀逸。後半はやや息切れしたか。
FW
30 旗手玲央 6(56分OUT)
よく走った! DFふたりに囲まれても突破するアイデアと強引さも持ち合わせ、貢献。負傷交代は残念も、スタジアムからの大きな拍手がその働きぶりを物語っていた。
19 齋藤 学 5.5(66分OUT)
先制点は彼のクロスから。左サイドで得意のドリブルを仕掛けるなど、ここ数試合同様に好調ぶりは感じさせた。ただ、チームが苦しい時により打開したかった。
11 小林 悠 6(76分OUT)
冷静にPKを決めて先制点をゲット。ポストプレーでリズムも作った。しかし、勝ち越された後の65分にはビッグチャンスをフイに。「6.5」に近い「6」が妥当か。
交代出場
MF
18 三笘 薫 6(56分 IN)
旗手の負傷を受けてピッチへ。もはや代名詞となった相手の逆を取るドリブルで切り込み、小林への素晴らしいスルーパスも。L・ダミアンがPKを奪ったシーンでは惜しいシュートを放つ。ただ2失点目のシーンはカバーが間に合わず、山口にクロスを送られた。
MF
8 脇坂泰斗 6.5(66分 IN)
出場直後は神戸の激しいプレスに苦しむ。それでも好機を見逃さず。85分には宮代の決勝点をお膳立てした。
MAN OF THE MATCH
FW
20 宮代大聖 7(66分IN)
アカデミー出身FWの嬉しいJ1初ゴール&等々力初ゴールは、試合を決める劇的な決勝弾! サポーターを歓喜させたヒーローは、大きな一歩を踏み出した。
DF
7 車屋紳太郎 6(66分 IN)
神戸にペースが移っていた時間に左SBに入り、相手とファイト。快足を飛ばしたカバーリングも見せた。
FW
9 レアンドロ・ダミアン 7(76分 IN)
苦しい展開が続いた80分に値千金のPKを獲得し、自ら決める。チームを敗戦から救ってみせた。
監督
鬼木 達 6.5
川崎が6-0で勝利したルヴァンカップから戦い方を変えた神戸に、最後まで対策がハマらなかった印象。ただし、交代出場の宮代、L・ダミアン、脇坂がチームを勝利に導いたように采配は的中。勝利数を伸ばした。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
神戸 6
「戦術面も思い描いたとおり進み、選手もよく頑張ってくれた」と指揮官が振り返った通り、敗れたとはいえ、80分ごろまで勝利が見えていただけに悲観する内容ではなかった。ただ、勝点1でも持ち帰る狡猾さが今後は必要だろう。
【神戸|採点・寸評】
GK
18 飯倉大樹 5.5
3失点のうちふたつはPK。決勝弾もDFがマークに付き切れなかった展開だった。それでも守護神として納得はいかないはず。フィードでの貢献も加味したいが、及第点には届かずか。
DF
33 ダンクレー 5.5
プレスをかけられ、ミスを誘発させられた。ディフェンスではギリギリの線をいく激しいチャージでボールを奪いにいった。
3 渡部博文 5.5
前半にハンドでPKを与えてしまった対応に悔いが。その後、ボールを散らす意識は高かった。1点目も起点はこのDFの逆サイドへのフィードだった。
17 菊池流帆 5
評価が難しいパフォーマンス。気持ちの入ったディフェンスは光ったが、ミスも見られた。そして85分には同点弾につながるPKを献上。もう少し冷静に守りたかった。
MF
22 西 大伍 6.5
23分には縦パスを入れて1点目につなげ、59分には“にくい”ワンタッチパスで山口のオーバーラップを活かし、2点目を演出。ウイングバックとして多くのチャンスに絡んだ。
6 セルジ・サンペール 6
後半により存在感を放ち、59分に中央からサイドへボールを送り、2点目の起点になったシーンなどキックセンスで特長を示す。もっとも前への守備でボールを奪う場面はあったが、最終ラインの防波堤という点では強度にやや不安が。
14 安井拓也 5.5
山口とともにプレスに走り、川崎のパス回しを寸断しようと模索。もっとも本領発揮とはいかなったか。運動量が落ちた68分に交代となった。今後の期待も込めてやや厳しめの採点に。
24 酒井高徳 6
右の西とともにワイドな攻撃を機能させた。ゴールに結びつかなかったとはいえ数本、鋭いクロスを供給。
FW
5 山口 蛍 6.5
チームのダイナモと言えるように中盤でプレスをかけ続け、チャンスと見るや前へ。59分には果敢な走り込みからクロスを送り、藤本のゴールをアシスト。
9 藤本憲明 6.5
一時勝ち越しとなる59分のゴールは、らしさ満点のニアでワンタッチで合わせた形。古橋のゴールを演出したターンからのスルーパスも素晴らしかった。
11 古橋亨梧 6.5
的確にフリーランを繰り返し、23分には藤本のパスを受けて右足を一振り。チームを奮い立たせる同点弾を奪い、2点目にも絡む。最後までよく走り、勝点を得ていれば、MOMだった。
交代出場
FW
13 小川慶治朗 5.5(68分IN)
2-1の状況で右サイドに入り、相手にプレスをかけて自由にパス出しをさせなかった。ただし、その後、逆転を許したチームを救うことはできず。
FW
41 小田裕太郎 ―(79分IN)
出場した4分後に同点弾を決められ、難しいプレーを求められる。チャンスに絡めなかった。
監督
トルステン・フィンク 6
イニエスタ、フェルマーレンらを欠き、交代枠を2枚しか使わなかった点に台所事情の苦しさを窺わせた。ルヴァンカップで0-6で敗れた相手に対し、ウイングバックを上手く使った攻撃で勝利まであと一歩まで迫ったが……。この敗戦を糧にしたい。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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