見どころ・戦評
[J1第16節]川崎5-1広島/9月13日/等々力
【チーム採点・寸評】
川崎 7
14分にまさに練習通りのパス交換から先制。その後は広島の後方からのフィードを使った攻撃に苦慮したものの、後半頭に三笘、大島を投入してギアチェンジ。51分までにリードを4点に広げて試合の趨勢を決めると、88分にはPKで追加点。ホーム8連勝、リーグ前半戦の17試合で14勝2分1敗、勝点44という見事な成績で後半戦へターンを切った。
もっとも90分には足が止まったところで1失点。試合の締め方は課題。鬼木監督は「まだ(シーズンは)半分。勝負はここから」と勝って兜の緒を締める。MOMは2ゴールの田中と迷い、失点シーンでは軽い対応を見せたとはいえ、試合を通してのパフォーマンスを含め結果を残したCBを選んだ。
【川崎|採点・寸評】
GK
1 チョン・ソンリョン 6.5
浅野に決められたシーンは相手のシュートを褒めるべきだろう。一方で74分にはエゼキエウの至近距離からの一発をセーブ。その後、ファンブルがあったにせよ、守護神の働きを示した。
DF
13 山根視来 6.5
14分には華麗なパス交換ら田中のゴールをアシスト。試合終盤にはクロスからPKを奪うなど2ゴールに絡んだ。
4 ジェジエウ 6.5
フィジカルの強さを活かしてボールを回収。この日は山村とのCBコンビだったが、問題なく広島の攻撃を撥ね返す。広島のCF、L・ペレイラとのフィジカル勝負も見応えがあった。それだけに90分の失点は悔い。
MAN OF THE MATCH
34 山村和也 7
スマートかつ、激しい素晴らしいディフェンスで、この日は休養を取った谷口に代わり最終ラインを引き締め、50分には華麗なミドルでゴール!! 失点シーンで浅野への対応が軽くなった点は見落とせないものの、高く評価されるべき出来だった。
7 車屋紳太郎 6
元チームメイトのハイネルとのマッチアップに柔軟に対応。前に出ての守備が求められた際に後方のスペースを使われたが、周囲と上手く連係した。
MF
6 守田英正 6.5
谷口が休養、大島がベンチスタートとあって、この日もキャプテンマークを巻いてプレー。ボールを上手く奪い返しながら、ポゼッションの起点にもなり、攻守で存在感を放った。
25 田中 碧 7(89分OUT)
ここ数試合、ベンチスタートが続いていた男は、その鬱憤を晴らすかのように2ゴール!! パスミスやトーンダウンした時間はあったが、真骨頂の前への動きを改めてアピールし、ゴール前で身体を投げ出すシュートブロックも。MOM候補だが、山村と悩み、今回は次点に。ただサポーターから称賛を送られるパフォーマンスだった。
MF
8 脇坂泰斗 6(HT OUT)
特異のキュッと回るターンと、間受けを駆使して攻撃にリズムをもたらそうと奮闘。L・ダミアンらとともに、前線からのプレスも精力的にこなした。ただ結果を残せいないまま、ハーフタイムで交代に。
FW
30 旗手怜央 6(HT OUT)
相手に囲まれても冷静にいなし味方につなぐ。大卒ルーキーらしからぬ冷静な振る舞いで攻守に走ったが、こちらもハーフタイでベンチに。前節に足を痛めていた影響もあったか?
19 齋藤 学 6.5(71分OUT)
51分には好クロスで田中の2点目をアシスト。自慢のドリブルで相手を抜くシーンは限られたが、守備のタスクもしっかりこなした。
9 レアンドロ・ダミアン 6.5(71分OUT)
後半開始早々に三笘のクロスをニアでプッシュ。唯一のシュートをゴールにつなげる高い決定力を示す。ポストプレーでも頑張った。
交代出場
MF
18 三笘 薫 7(HT IN)
分かっていても止められないのだろう。この日も“ヌルヌル”と抜き去るドリブルで相手守備網を引き裂いた。スタメンでも活躍するが、現状のJリーグで彼以上のジョーカーは見当たらない。後半すぐのゴールラッシュはこの18番の功績だ。
MF
10 大島僚太 6(HT IN)
後半頭からピッチへ。的確にパスをつなぎ、守備ではバランスを取りながら相手にアタック。快勝に寄与した。
FW
20 宮代大聖 6(71分IN)
前節に劇的なJ1初ゴールを決めた俊英は、この日はチャンスを仕留め切れず。動きは悪くなかった。
FW
11 小林 悠 6.5(71分 IN)
88分にキッチリPKを成功させるところはさすが。4点リードからの出場で難しかった部分もあるだろうが、仕事は果たした。
MF
41 家長昭博 ―(89分 IN)
試合終了間際にピッチへ。短時間でも小林とのコンビネーションで攻撃を構築しようと試みた。
監督
鬼木 達 6.5
リーグ前半戦最後のゲームでも選手をしっかりモチベーションし、快勝につなげる。17戦でわずか1敗。52得点・16失点。見事なチームを作り上げている。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
広島 5
序盤にディフェンスを崩されて失点。その後は上手く後方からフィードを使いながら攻撃を組み立てたが、指揮官も悔やんだように後半の入りに甘さが。4分間で3失点し、完敗。それでも最後まで諦めずに試合終了間際には一点を返すなど、この敗戦を次につなげたい。
【広島|採点・寸評】
GK
38 大迫敬介 5
どの失点もセーブが難しいもので、責任を追及すことはできず。ただ5失点ではそれなりの採点にせざるを得ない。
DF
2 野上結貴 5
当たりの強さとフィード能力で前半は奮闘。しかし、後半は川崎の勢いを止めることができず。後半早々の2失点目の場面は大島の動きに釣られ、三笘にアタックできず。
23 荒木隼人 5
元セレソンのL・ダミアンとのマッチアップに苦しんだ印象。2失点目もマークしていたそのストライカーに決められてしまった。
19 佐々木翔 4.5
1失点目のシーンはポストに入った旗手を潰し切れず、後方にスペースを空けてしまった。5失点目につながるPKはやや可哀そうな判定も、キャプテンとして劣勢時にチームを奮い立たせたかった。
MF
44 ハイネル 4(64分OUT)
三笘にぶち抜かれ、失点につながった後半早々の対応は苦しい。攻撃面で挽回ともいかなかった。
8 川辺 駿 5
パスの狙いどころやボールの動かし方には好感。もっとも、先制点と2失点目の場面ではカバーが間に合わず、3失点目も山村に目の前で決められた。守備面でマイナスが。
6 青山敏弘 5(72分OUT)
39分の縦パスなど、コンダクターとしてさすがのプレーも見せる。が、50分にはクリアを拾われて山村に決められ、51分には田中を捕まえ切れずに3点目を許す。川辺同様に失点を防げず。
18 柏 好文 5.5(72分OUT)
ダイアゴナルの動きで前線に入り、パスを引き出そうと走った。狙いは窺えたが、奏功はせず。
MF
9 ドウグラス・ヴィエイラ 5(51分OUT)
自身は囮になりながら、攻撃に絡もうとフリーランを繰り返す。ただシュート0本は寂しい。
10 森島 司 5(51分OUT)
オフサイドになったものの前半終了間際に送ったクロスにセンスを感じた。一方、守備面では後れを取った。
FW
39 レアンドロ・ペレイラ 5.5
機動力を活かしてボールに絡み、川崎ゴールを目指す。山村、ジェジエウのCBコンビに苦戦も、起点になろうと身体は張った。
交代出場
MF
14 エゼキエウ 6(51分IN)
粗さがあり、74分の決定機はモノにできなかったとはいえ、ガムシャラにゴールを目指す。浅野の得点につなげた。
MF
25 茶島雄介 5.5(51分IN)
出場直後にチームが失点。4点のビハインドを追うなか、右サイドからの突破を図る。前には出た。
FW
29 浅野雄也 6.5(64分IN)
試合終了間際に一矢報いるゴラッソを叩き込む。右サイドからゴール前に入り、左足を振り抜いた。インパクトは抜群。
MF
30 柴﨑晃誠 5.5(72分IN)
出場直後にエゼキエウを好機に導くなど積極的にプレー。ただ、得点にはつなげられず。
MF
24 東 俊希 5.5(72分IN)
左サイドでチャンスにつなげようとボールを追う。諦めない姿勢は今後につながるはず。
監督
城福 浩 5
「5失点という屈辱的なスコアを受けたあとに、諦めずにボールを追った姿勢がこのチームの良さ。そこを大事にしたい」と試合後にコメント。30分すぎからはチャンスも作れていただけに、4分間で3失点した後半の入りが悔やまれる。チームを引き締めたかった。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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