見どころ・戦評
[J1第18節]川崎3-2横浜FC/9月23日/等々力
【チーム採点・寸評】
川崎 6
3-2でしっかり勝ち切り、6連勝を達成したものの、苦戦したゲームだったのは事実。1-0で折り返した後半は開始直後に追加点を奪うも、2分後に1点を返され、67分には再び突き放すも、7分後に失点。雨の影響もあったか、自慢のパスワークで崩すシーンがこの日は少なく、逆に相手のポゼッションに手を焼いた印象だ。
もっとも連勝を伸ばし、勝点は50に到達。2位のC大阪が敗れたため、差は11に広がっただけに、文字通り首位を快走している。良い課題を得た試合として次戦につなげたい。
【川崎|採点・寸評】
GK
1 チョン・ソンリョン 6.5
2失点したとはいえ、瀬沼との1対1を迎えた65分にはチームを救うファインセーブ。あれを決められていたら試合はどうなっていたか分からない。
DF
13 山根視来 6
時折キレのあるドリブルを見せた松尾とマッチアップ。難しい対応もあったが、身体を張った。一方、この日は攻撃にはそこまで絡めず。
4 ジェジエウ 6
ハイボールを撥ね返す力強さはいつもながら高いレベルで、SBの裏に出されたボールも快足を飛ばして処理。ただ後半は足を滑らすなど、相手の攻撃にやや慌てる姿が。
34 山村和也 5.5
前半は危なげないパフォーマンスも、後半にCKから競っていた小林に決められた。経験豊富な存在だけに、もう少し最終ラインを落ち着かせたかった。
2 登里享平 6
誰よりも声を出して後方から守備のバランスを取った。ただ、特に終盤は横浜FCの攻撃を寸断できず、苦しい時間も。
MF
6 守田英正 6
前半はしっかりセカンドボールを拾い、後半立ち上がりには旗手のゴールに絡む。そして65分にはスライディングしながらゴールすれすれで、斉藤のシュートをブロック。一方で終盤は疲れがあったか、ややトーンダウン。2失点目の場面では深い位置でボールを失ってしまった。フィードミスも。
25 田中 碧 6.5(84分OUT)
能力をより活かせるのは、やはりアンカーよりインサイドハーフか。22分にはCKのこぼれ球のチャンスを見逃さずに強烈なシュートで先制点をゲット。前節から準備していたという二階堂コーチへ捧げるゆりかごダンスを披露した。もっとも試合を通じて細かいミスもあった。
MF
14 中村憲剛 5.5(HT OUT)
今季初先発を飾る。相手守備網のギャップに潜り込み、パスを送ってチャンスを窺う。的確な捌きは光り、田中の先制点につながるCKも蹴ったが、大きな成果を示せないままのハーフタイムでの交代は残念。ただ負傷明けで45分プレーできたのが、ひとまず収穫か。
FW
MAN OF THE MATCH
30 旗手玲央 6.5(68分OUT)
前半は右ウイングとしてよく走り、周囲を助け、インサイドハーフに移った後半は見事な2ゴール。チームを機能させる貴重な存在であり、試合をこなすごとに欠かせない戦力としての価値を高めている。田中とともにこの日の勝利の立役者だった。
19 齋藤 学 6(77分OUT)
スプリントを活かしたプレスでパスコースを限定し、ディフェンスで貢献。攻撃面でさらなる上積みは欲しかったが、しっかりタスクはこなした。
9 レアンドロ・ダミアン 5.5(HT OUT)
周囲との息が合わず、呆然と立ち尽くしたまま前半終了のホイッスルを聞く。そしてハーフタイムで交代。この日は彼の日ではなかった。
交代出場
MF
18 三笘 薫 5.5(HT IN)
何度か左サイドを突破してチャンスを作るも、毎回のスーパーなプレーを見ているからこそ、どこか物足りなさが。2失点目のシーンではプレスバックが遅れたか。
FW
11 小林 悠 6(HT IN)
旗手の2ゴールは彼のパスから。自身はバースデーゴールを目指し、惜しいシュートチャンスを迎えたが、GKに阻まれた。
MF
41 家長昭博 5.5(68分 IN)
リードを2点に広げた後にピッチへ入るも、その後に失点。以降は劇的に流れを変えるには至らず。試合終盤にはボールを失い、カウンターを仕掛けられそうになったところを止めてイエローカード。
FW
20 宮代大聖 ―(77分IN)
カウンター時には一気に駆け上がり、パスを呼び込む。ただ、良い形でシュートまではいけなかった。
MF
22 下田北斗 ―(84分 IN)
疲労の色が濃くなっていた田中に代わって最後の交代カードとして投入される。終盤には一本、惜しいシュートがあった。
監督
鬼木 達 6
リーグ戦の連勝を6に伸ばすことに成功。しかし“川崎らしさ”を示せたゲームではなく、修正が必要に。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
横浜FC 5.5
川崎をあと一歩まで追い詰めるも、確かな差も感じたはず。真骨頂の丁寧なビルドアップでボールを持ち運んだものの、課題は相手ゴール近くでの崩しの質とアイデア。もっとも2ゴールは奪い、首位チームを相手に1点差での敗戦と、自信を掴めるゲーム内容でもあっただろう。カズ、中村、松井の同時先発という策も奏功。各選手、奮闘したが、結果には結びつかず、採点は難しいところだ。
【横浜FC|採点・寸評】
GK
44 六反勇治 5.5
好セーブもあり、つなぐ意識も高かった。ただし、2失点目は彼のパスがズレたところを狙われただけに、及第点とはいかないだろう。
DF
6 瀬古 樹 5.5
前半に一度、対角線のパスをゴール前の松尾に送ったように、SBとしてもキック精度を示す。守備でも奮闘したが、齋藤や三笘のドリブルに手を焼くシーンも。
5 田代真一 6
小林と協力して川崎の攻撃に対応。3失点はともに味方の対応に誤りがあっただけに、食い止めるのは難しかった。
4 小林友希 5.5(76分OUT)
評価が最も難しい選手。47分にはCKからゴールを奪うが、67分には旗手に簡単に入れ替わられてゴールを許す。田代との連係は良く、残りの2失点は最終ラインを崩されたものではなかったが…。
14 志知孝明 5.5
果敢にオーバーラップするも、敵陣で効果的な仕掛けはなかなか見せられず。より周囲と絡みたい。
MF
46 中村俊輔 5.5(60分OUT)
22分の失点場面では田中への寄せが甘くなった。一方で、48分には伝家の宝刀、左足のCKで小林のゴールをアシストした
8 佐藤謙介 6
こちらも評価が難しい。74分のミドルはまさにスーパーゴール。それでも46分にはGK六反との息が合わず、ボールを奪われて失点につながった。
MF
22 松井大輔 5.5(60分OUT)
ボランチとしてプレー。柔軟なパフォーマンスで攻撃に絡むも、一失点目の場面では田中の動きを止め切れず。
37 松尾佑介 5.5
得意のドリブルで局面の打開を試みる。一瞬のキレがあり、チャンスを窺った。佐藤のゴールにも絡む。その数をより増やしたい。
FW
13 瀬沼優司 5.5(76分OUT)
ポストプレーで時間を作ろうと努力。ただ、65分のビッグチャンスは決め切りたかった。
11 三浦知良 5.5(56分OUT)
中盤でボールを引き出し、攻撃の構築に貢献。試合後には「フィニッシャの精度アップ」を個人、チームとしての課題に挙げる。J1最年長出場記録を更新。
交代出場
FW
23 斉藤光毅 5(56分IN)
本来の力を知るからこそ厳しい採点に。2本のチャンスのうち、どちらかをモノしていれば……。
MF
30 手塚康平 6(60分 IN)
どちらかというと力強いディフェンス面が光り、川崎の突破を阻む。パスも的確につないだ。
MF
40 レアンドロ・ドミンゲス 6(60分IN)
軽々豊富な助っ人は要所で存在感。74分には佐藤のゴールをアシストし、他の好機にも彼の姿が。
FW
9 一美和成 ― (76分 IN)
強引なまでのターンからのシュートで得点を目指す。ストライカーらしいプレーぶりではあった。
DF
26 袴田裕太郎 ―(76分 IN)
試合終盤に小林に代わってCBとしてプレー。短い時間も、果敢なディフェンスで相手にプレッシャーをかけた。
監督
下平隆宏 6
3人のベテランを先発起用する“奇策”で臨み、川崎を相手に善戦。良い経験は得られたはず。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
Jリーグ各クラブの最新情報はアプリで!