見どころ・戦評
[J1リーグ19節]名古屋3-1清水/9月26日/豊田スタジアム
【チーム採点・寸評】
名古屋 6
立ち上がり早々の得点をアドバンテージに以降の試合を完全に掌握。前半のうちの加点、後半のダメ押しも上手くいき、守備でも隙を見せることなく試合を締めた。1失点は余分だが、名古屋らしい冷静な勝ち方だった。
【名古屋|採点・寸評】
GK
1 ランゲラック 6.5
失点の場面はボールに触りたかったところだが、それまでに防いだ決定機の数はやはり高く評価したい。前半をゼロで終えられた部分への貢献度は高い。
DF
26 成瀬竣平 6.5
特徴である前にボールを運んでいく力、ダイレクトで相手を置き去りにするパスが素晴らしくゲームを優位に進める要因となった。
4 中谷進之介 6
対人の強さはいつも通りで、敵の外国籍2トップにも後手を踏むことがなかった。ビルドアップも丁寧で、ロングレンジの縦パスでもゲームを動かした。
3 丸山祐市 6.5
シュートブロックで決定機を防ぐこと数度。空中戦も負け知らずで、ダメ押しとなる3点目まで決める大活躍。MVPでも良いくらいのパフォーマンスだった。
23 吉田 豊 6.5(79分OUT)
対面のアタッカーには何一つ仕事をさせず、忠実なビルドアップとパスのつなぎでチームに安定感をもたらした。対人守備の頑強さは岩のごとくだった。
MF
2 米本拓司 6
前に出る積極的な守備で相手の出鼻をくじき、セカンドボールを回収しまくった。身体を張って清水の勢いを消す作業にも忠実で、ゲームコントロールに大きく貢献。
15 稲垣 祥 6
すっかり体力が回復したかのごとく広範囲に動き回り、セカンドボールを拾って味方を助けた。ダイレクトでサイドを変えるパスはスルーパスにも転用され、チャンスメイクも。
MAN OF THE MATCH
11 阿部浩之 6.5(79分OUT)
開始2分の思いきったシュートで先制点を決め、チームを勝利の流れに乗せた。相手の間でボールを受ける嫌らしいポジション取りで攻撃に緩急をつけ、ピッチの横幅を存分に使って試合を支配。負傷から復帰後では最長のプレータイムを記録した。
FW
25 前田直輝 6.5(61分OUT)
ゲームの流れを大きく引き寄せる2点目は彼らしくドリブルでGKを抜くという鮮やかさ。守備に裏抜けに、クロスに飛び込みと躍動感があるプレーで、ようやく輝いてみせた。
17 山﨑凌吾 6.5(61分OUT)
高く評価したいパフォーマンスだった。プレスバックで守備をフォローし、ポストプレーに留まらず起点となる動きで攻撃も加速させた。前田へのアシストも見事で、得点はなかったが十分な働き。
16 マテウス 6(88分OUT)
前田と左右を入れ替えてから水を得た魚のごとく縦突破を連発。FKでも決定的なシュートを放ち、守備意識も高かった。足がつった終盤はケアレスミスが多かったが、やはりプレーの質は高い。
交代出場
FW
27 相馬勇紀 6(61分IN)
後方からのロングフィードに空中戦を含め何度も食らいついた。ランニングの質に改善の余地はあるが、一時の不調は抜け出した感も。
FW
44 金崎夢生 6(61分IN)
山﨑ほどの高さは出せなかったが、ボールキープ力では彼が上。粘り強い守備もあり、チームがつかんだ流れを壊さずプレーした。
DF
36 太田宏介 ―(79分IN)
吉田豊と交代し、相馬を走らせるパスを何度も狙った。守備でも大きな綻びは見せず、スマートにプレー。
MF
10 ガブリエル・シャビエル ―(79分IN)
それほどプレー機会は多くなかったが、カウンターの増える展開で敵陣を駆けた。ゴールに迫れればなお良かったが、試合展開を思えば妥当なパフォーマンス。
MF
8 ジョアン・シミッチ ―(88分IN)
最後の時間稼ぎにピッチに投入。第二子が生まれたばかりのパパには先制点後に仲間たちからゆりかごパフォーマンスと、ホーム勝利のプレゼントがあった。
監督
マッシモ・フィッカデンティ 6.5
清水の出方を読み切り、穴のない対応でチームを連敗させなかった。終盤の失点はいただけないが、これは戦術外の部分。抑揚のない展開は面白みにはかけたとはいえ、安定感は際立っていた。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
清水 5
ビルドアップからの攻撃の意図がチームで統一されていない印象で、チグハグな流れがピンチを何度も呼んだ。布陣と配置の意味をもっと持たせたいところで、決定機はつくっていても全体的に怖さはなかった。
【清水|採点・寸評】
GK
39 大久保択生 5
冷静な対応は見られ、ビッグセーブも数度。しかし失点の場面ではもう一歩のステップが足らなかった印象もある。
DF
22 ヘナト・アウグスト 5.5
力強さと推進力を最終ラインから誇示し、セットプレーのターゲットとしても存在感があった。後半は3点差を追いかける中で守備に文字通り奮闘した。
7 六平光成 5
ディフェンスラインでボランチらしいボールさばきを見せたが、ポゼッションや縦パスでのミスがチームに多く、負荷は大きかった。攻撃面での貢献度をチームが引き出せなければ、このポジションでのプレーは厳しくなる。
2 立田悠悟 5
空中戦では強さを見せたが、1対1ではスピードのある名古屋攻撃陣に手を焼いた。味方を鼓舞する声は良かったが、チームの勢いにはつなげられず。
MF
18 エウシーニョ 5.5(60分OUT)
両ウイングバックは攻撃のスイッチャーにもなっていた。右のエウシーニョは巧みなボール運びとビジョンを見せたが、周囲の反応は薄く…。
17 河井陽介 5.5
アンカーでよくボールを左右、縦へと振り分けていったが攻め込む最中のミスがチーム全体として多く、押し上げていくことができなかった。
16 西澤健太 5.5
彼のところにボールが入り、周囲に味方が配置できた時が最もチャンスの芽は膨らんだ。しかしその数は時間経過とともに減り、劣勢を跳ね返せない要因の一つにも。
14 後藤優介 5
自慢のスピードを生かす機会は堅守の名古屋相手ではなかなか出せず。速攻の場面に顔を出せればよかったが。
20 中村慶太 5.5 (79分OUT)
ボールを持って仕掛ける場面は多いが、選択肢として有効なものが今日は少なかった印象。後半になるとボールタッチも減り、存在感は希薄に。
FW
23 ティーラシン・デーンダー 5(60分OUT)
最前線で基点を作ることが少なかったのは彼一人の責任ではないが、シャドー2枚との連係をもっと構築したいところ。
10 カルリーニョス・ジュニオ 5.5
運動量がチームに生かしきれていない。ボールを引き出す動きは多かったが、サポートが少なかったのも不運ではあった。最後は一矢報いるゴールで意地を見せた。
交代出場
MF
37 鈴木唯人 5.5(60分IN)
右ウイングバックに入り、中央もプレーエリアとしてチャンスメイクに腐心。決定機は生むことができなかったが、ボールの流れはつくった。
FW
11 ジュニオール・ドゥトラ 5(60分IN)
得意のドリブル、シュートを見せる機会はなく、送り込まれてくるロングボールの落下点でのプレーが多かった。これでは持ち味は出しにくい。
MF
40 成岡輝瑠 ―(79分IN)
中盤に入り最後の反撃に加わるも、大勢は決した後で見せ場も少なかった。
監督
ピーター・クラモフスキー 5
良い攻撃、良い守備を披露できている時間帯もあったがそれは短く、上手くいっていない時間の選手のズレの方が気がかり。全体としてのまとまりがあってのチームスタイルだけに、やるべきことを明確にしたい。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文●今井雄一朗(フリーライター)
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