見どころ・戦評
[J1第23節]川崎3-0名古屋/10月18日/等々力
【チーム採点・寸評】
川崎 7
前半は守備がはまらず嫌な時間帯もあったが、中盤の立ち位置を変えて相手をいなしながら、前半終了間際にCKから先制。流れを掴むと、後半は冷静に試合を展開して、再びセットプレーを活かして計3ゴールと名古屋を引き離す。流れの中からはゴールを奪えなかったとはいえ、大事なゲームでしっかり結果を残し、リーグ新記録となる11連勝を達成!! リーグ戦では唯一黒星を喫していた相手にリベンジを果たし、改めて充実ぶりを示している。
また付記したいのは、名古屋との一戦は、後半こそ点差がついたが、特に前半は引き締まった非常に内容の濃いゲームであったということ。こうした試合を勝ち切れた点は自信につながるだろう。
【川崎|採点・寸評】
GK
1 チョン・ソンリョン 6.5
86分にはマテウスの強烈なシュートを阻むなど、的確なセーブを披露。重要な一戦で完封勝利に貢献した。
DF
13 山根視来 6
オ・ジェソクやマテウスらと対峙。40分にはカウンターから持ち込んで鋭いシュートを放つ。上手いターンで縦への突破も見せた。
MAN OF THE MATCH
4 ジェジエウ 7.5
中谷に当たって入ったシュートも公式記録では彼のゴールと認められ、65分には文句なしのヘッドも決める。川崎移籍後初得点を含む2ゴールで勝利の立役者に。なおかつ先制点につながるCKを奪ったのもこのCBで、いつもながら守備でも効いていた。
5 谷口彰悟 6.5
先制点のシーンでは、田中のCKをニアで上手くすらして三笘のゴールをアシスト。「とにかく勝ちたかった」と熱く最終ラインを引っ張った。
2 登里享平 6.5(87分OUT)
後半途中からのマテウスとのマッチアップではやや苦しむ場面もあったが奮闘。特に後半は魂のディフェンスを見せた。オーバーラップも的確に行なう。
MF
6 守田英正 6
前半は相手にスペースを上手く使われるシーンもあったが、周囲と連係しながら修正。危険なゾーンでのシュートブロックや、非常に狭いコースを狙うフィードも。
25 田中 碧 6.5
守田同様、前半は悩む時間があったものの、ハーフタイム直前にはCKから三笘のゴールをお膳立て。試合が進むごとにインテンシティの高さが際立つ“ならでは”のパフォーマンス。
MF
14 中村憲剛 6.5(70分OUT)
前半はバランスを見ながらプレーし、輝く場面は限られたが、やはり役者は勝負どころを知っている。57分にFKからジェジエウのゴールを導くと、65分にもショートコーナーからジェジエウのゴールをアシスト。さすがの働きだった。
FW
41 家長昭博 6(90+1分OUT)
決定的な仕事はなくとくも、高いキープ力で攻撃の起点に。ボールを預けられる安心感がこの日もあった。。
18 三笘 薫 7(87分OUT)
先発のチャンスを掴むと、序盤からフルスロットルで仕掛け、盛大な拍手を受ける。途中、消える時間やボールロストもあったが、苦しい時間で先制点を奪った嗅覚は見事。L・ダミアンとヒールでつないだ一連の崩しも出色で、“魅せるプレー”はすでにリーグトップレベルだ。
9 レアンドロ・ダミアン 6(90+1分OUT)
前半早々にクロスに合わせたシーンは決め切れず。それでもポストプレーヤーとしてパスを引き出し、シンプルに味方を使った。
交代出場
MF
8 脇坂泰斗 6(70分 IN)
守備のバランスを取りながら、ボールを持てば前へ。攻撃のテンポを速めた。齋藤のクロスから放ったシュートは決めたかった。
MF
19 齋藤 学 ―(87分 IN)
出場直後には左サイドで仕掛けて、脇坂に好クロス。少ない時間でチャンスを作り出した。
DF
7 車屋紳太郎 ―(87分 IN)
残り5分少々のタイミングで左SBとして送り込まれる。一度、金崎と激しい接触があったが、最後まで冷静にプレーし、試合を締めた。
FW
30 旗手怜央 ―(90+1分 IN)
後半アディショナルにピッチへ。時間は短ったものの、ボールを追った。
DF
34 山村和也 ―(90+1分IN)
練習で何度か試されていたCF起用がついにお披露目。L・ダミアンに代わって最前線でプレーし、空中戦で強さを見せた。
監督
鬼木 達 6.5
人心掌握術、試合への周到な準備は尊敬に値する。セットプレーでのゴールはコーチ陣への感謝の言葉を口にしつつ、チームを狙い通り11連勝へ導いた。中村、三笘の先発起用も当たった。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
名古屋 5.5
フィッカデンティ監督が振り返ったように内容は決して悪くなかった。強度の高い守備をベースに、相手の守備網を広げさせつつ、ギャップを突く。個性的なアタッカー陣の能力も上手く活かし、前半はハーフタイム直前にCKから失点するまで納得の出来だっただろう。だからこそ、後半、マークのズレがあったか、セットプレーから2点を失ったのが残念すぎた。敗れたとはいえ、収穫と課題を含めて、チームをさらにもうひと段階、レベルアップさせられる貴重な経験になったはずだ。
選手採点も非常に悩ましいところ。結果を残せなかっただけに、マイナス評価が妥当だろうが、各々の奮闘ぶりも加味したく……。
【名古屋|採点・寸評】
GK
1 ランゲラック 5.5
味方に当たってネットに吸い込まれるなど、3失点はともに阻むのは難しいものだった。前半は好セーブを見せたが……。
DF
26 成瀬竣平 5.5
粘り強い対応は是非とも評価したい。それでもマッチアップした三笘の勢いを止め切れず、なかなか前にも出られなかった。
4 中谷進之介 5.5
3失点して迎えた後半の飲水タイムでは「まだ終わってないぞ!!」と声を張り上げ、周囲を叱咤。“闘将”のような熱い男は球際でもよく戦った。流れの中からは得点は与えなかっただけに悔しい結果だろう。2失点目はジェジエウのヘッドが頭に当たりゴールへ。
3 丸山祐市 6
中谷と中央の強度を上げつつ、左足のフィードで攻撃を後方支援。個人的な出来は中谷と同様に悪くなかった。ジェジエウに2点を決められた後にはベンチに駆け寄りマークの確認をしたのか、修正を図った。
34 オ・ジェソク 5.5(82分OUT)
家長、山根らの川崎のサイドアタックに対応しつつ、前線でボールが収まれば一気に前へ。前半は特にダイナミックに動いたが、後半は押し込まれる時間が増加。2失点目の場面ではジェジエウに付き切れず。
MF
15 稲垣 祥 6
この試合で評価が最も難しい選手。前半はセカンドボールをよく拾い、読みを利かせた守備でボールをカット。攻守をつなぐ非常に重要な存在だった。しかし、3失点目のシーンでは身長差を突かれジェジエウに決められた。
11 阿部浩之 5.5(64分OUT)
古巣との一戦を「自分にとっては紅白戦のようだった」と回顧。味方のポジションを確認しながら柔軟にボールを受ける位置を変えるプレーぶりはやはり巧み。攻撃にリズムを生んだ。欲を言えばもう少しフィニッシュに絡みたかったところ。
MF
2 米本拓司 5.5(82分OUT)
稲垣とともに中盤を引き締め、名古屋のチームスタイルを体現。もっとも先制点の場面では谷口にニアで先にボールに触られた。
FW
25 前田直輝 5.5(64分OUT)
前半に左からのクロスを金崎、阿部と絡んで落ちてきたボールを狙うも、惜しくもゴール左に外れる。あれを決めていれば、試合の流れは変わっていたはず。味方とのコンビネーションは〇。
44 金崎夢生 5.5
川崎の激しい守備に苦しみながらポスト役を担った。周囲との連動は悪くないもシュートは0本。
16 マテウス 6
川崎にとっては一番厄介なアタッカーで、シュート5本と、ゴールを目指し続けた。守備面は課題も、鋭いクロスを含めてその攻撃性能は名古屋の武器だった。
交代出場
FW
17 山崎凌吾 5.5(64分IN)
出場直後にチームは3点目を奪われる苦しい展開。反撃を狙うもシュートまで持ち込めなかった。
MF
24 石田凌太郎 5.5(64分IN)
状況を打開しようと動き回ったが、奏功はせず。72分のシュートもわずかに外れた。一方でガムシャラにプレーした姿は好感。
DF
8 ジョアン・シミッチ ―(82分IN)
88分には左サイドからボールを持ち込み、マテウスにシュートチャンスを提供。奪って前につけた。
DF
36 太田宏介 ―(82分IN)
自慢の左足でのクロスを見せるには時間が足りなかった。ここからの挽回に期待。
監督
マッシモ・フィッカデンティ 5.5
試合後には「結果としては差が付いたが、内容は一方的だったとは思わない」とコメント。チームとして特長を発揮させたが、結果には結びつけられず。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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