見どころ・戦評
[J1リーグ31節]FC東京1-0広島/12月12日(土)/味の素スタジアム
【チーム採点・寸評】
FC東京 6.5
平均年齢23.8歳の若手主体のメンバーで挑む。前半は想像以上に広島に苦しめられた印象だが、選手交代で流れを変え、勝負所で両SBが攻撃参加し得点を得る。守備陣の奮闘やベテラン選手たちの気の利いたプレーもあって、広島の反撃も抑え切る。帰国後初戦で、ACLでの成長を感じさせるような価値ある勝利を収めた。
【FC東京|採点・寸評】
GK
13 波多野豪 7
3分のD・ヴィエイラのヘディングシュートのセーブをはじめ、69分の木村のあわやオウンゴールという場面でもしっかりと身体に当てて防ぐ。最後の砦としてゴール前に立ちはだかった。
DF
22 中村拓海 6
攻め上がりのランニング、ドリブル、パスセンスと随所で能力の高さを発揮していた。ミスとまでは呼べないが、DF間のパスのズレが時折見られ、集中力の持続が課題か。
47 木村誠二 6
57分のD・ヴィエイラの至近距離からのシュートをブロック。チャンスを作られる場面も多かったが、落ち着きを失わず、最後の部分ではしっかりと守り切った。
5 丹羽大輝 6.5
若手が多数出場していたチームをピッチ上に響き渡る声でよく鼓舞した。63分の柏のシュートも身体を張ってブロック。古巣相手に闘志あふれるプレーを披露した。
37 中村帆高 6.5
逆サイドからの攻撃が多く、前半から「クロスまで行ったときにマイナスの部分が空く」のを見逃さず、65分に攻め上がり左足を一閃。ゴールネット上部に突き刺さるシュートでJ初得点をマーク。
MF
44 品田愛斗 6
相手の巧妙さもあって、アンカーを務めた自身の両サイドが狙われ、守備には手を焼いていた。それでもひとたびボールを持てば絶妙な配球を連発し、大器の片鱗を見せていた。
28 内田宅哉 6
紺野の浮き球に反応して三田に繋ぎ決勝弾に絡む。精力的に走り回り、終盤には足を攣るが最後までピッチに立った。
7 三田啓貴 7(85分OUT)
キャプテンマークを巻いてプレー。劣勢の前半から攻守で精力的に働き、そのプレーでチームを牽引した。中村帆高のJ初ゴールもアシスト。
FW
24 原 大智 5.5
広島のCB相手に高さを活かして競り合った。前線からの守備にもよく走り、シュート2本を放つ。
15 アダイウトン 5.5(72分OUT)
相手にペースを握られた前半は唯一の武器だった。カウンターからのランニングは迫力があったが、広島の守備陣に上手く対処されシュートは0本。
27 田川亨介 5(58分OUT)
前半は右サイドからの攻撃が多く、ゴール前に効果的に走り込めれば決定機が作れていたはずだった。しかしシュート0本で58分に交代となってしまった。
交代出場
MAN OF THE MATCH
FW
38 紺野和也 7(58分IN)
攻撃を活性化しゲームを一変させた。投入直後にドリブルで持ち上がりチャンスを作れば、直後の65分には決勝弾の起点になった。アディショナルタイムには前線から激しくプレスをかけ守備でもチームに貢献した。
FW
23 矢島輝一 6(72分IN)
10月のG大阪戦以来の出場。リードした状況で投入され、前線から激しくチェイス。アディショナルタイムにはゴールへの走り込みで味方のパスも引き出した。
MF
40 平川 怜 ―(85分IN)
足を痛めた三田に代わってピッチに。そつなくプレーし相手の反撃を凌いだ。出場時間が短いので採点はなし。
監督
長谷川健太 6.5
後半の紺野投入で流れを一変させた。若手主体ながら、要所に配したベテランも期待に応え、攻め込まれる時間が長くても落ち着いた守備で最後まで得点を許さなかった。苦しい台所事情があったとはいえ、若手の積極起用がこの試合の結果にも繋がった。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
広島 5.5
前半は優勢に進め、11本ものシュートを放つが決定力に欠けた。見事なパスワークから度々チャンスを創出し、気の利いたサイドチェンジも行ない完成された試合運びを見せたが、最後の部分だけが足りず、9試合ぶりの敗戦となった。
【広島|採点・寸評】
GK
1 林 卓人 6
57分の三田のシュートは見事にセーブ。押し込んでいる時間帯も長く、ペナルティエリアを出て、ディフェンスライン裏に出されたボールもケアした。
DF
2 野上結貴 5.5
相手に許したシュートは前後半3本ずつ。そつなく守備をこなし、空中戦でも負けなかった。セットプレーも多かっただけに、相手ゴール前でも脅威になりたい。
23 荒木隼人 6
失点の場面ではブロックに行くものの、中村帆高のシュートコースが良く、身体に当てきれなかった。それでも、対人守備では無類の強さを誇り、アダイウトンも見事に抑え込んだ。38分には佐々木がヘディングしたボールに咄嗟に反応し、シュートを放つがわずかにポストの外へ。
19 佐々木翔 5.5
紺野投入直後に2度突かれた相手右サイドからの攻撃で失点。個人の責任ではないものの、ディフェンスリーダーとして対処したいところ。
MF
25 茶島雄介 5.5(55分OUT)
9分、23分とD・ヴィエイラにクロスを合わせる。後半立ち上がりも浅野と共に右サイドから崩しにかかるが、55分に柏と途中交代。
8 川辺 駿 6
青山との連係も完璧で、タイミングよく攻撃にも絡んだ。ゴール前を固めてくる相手にミドルシュート2本を放ち、打開を試みた。
6 青山敏弘 6
引いた相手に時折見せるミドルシュートや、気の利いたパスだけでなく、44分の相手FKの場面でも機器察知能力の高さを見せ、しっかりとディフェンスにも貢献した。
24 東 俊希 5.5
前半立ち上がりは、森島と連動してサイドを攻略した。しかし、次第にトーンダウンして効果的な攻撃には繋げられなかった。
MF
29 浅野雄也 5.5(78分OUT)
シャドーに入り、3分にはD・ヴィエイラにピンポイントパス。チャンスメイクは良かったが3本放ったシュートは相手に防がれてしまう。
10 森島 司 5.5
攻撃には絡んでいたが、ゴール前を固める相手守備陣を崩す変化は付けられなかった。セットプレーも多かったが、ゴールを生み出せなかった。
FW
9 ドウグラス・ヴィエイラ 5
3分のヘディングシュートは綺麗に当てたがGKの好守に遭う。19分のボレーシュートは枠に収めたかった。両チーム最多の4本のシュートを放っているが、得点の匂いを感じさせるものは無かった。
交代出場
MF
18 柏 好文 5.5(55分IN)
右サイドでプレー。攻撃ではライン際まで抉る突破や、クロスを供給するが、得点には繋がらず。守備では対面した紺野に押し込まれる時間も多く、失点時も走り込んできた中村帆高を捕まえきれなかった。
MF
30 柴﨑晃誠 ―(78分IN)
投入直後に敵陣深くへ侵入してパスを出すが、味方に合わず。攻撃にも多くは絡めなかった。
監督
城福 浩 5.5
3-4-2-1システムの特性を上手く活用し、チャンス創出までは高い機能性を見せた。その一方で課題とされた決定力不足に解決策を見出せず、外国籍選手たちが軒並み不在とあって交代カードも効果的に使うことができなかった。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)
Jリーグ各クラブの最新情報はアプリで!