見どころ・戦評
[J1リーグ34節]名古屋1-0広島/12月19日/豊田
【チーム採点・寸評】
名古屋 6
劣勢にも見える展開のなかから粘り強くスコアレスの時間を続け、途中交代の前田の使い方を変えたところから決勝点。勝負強さを身につけた今季を象徴するような勝ち方だった。
【名古屋|採点・寸評】
GK
1 ランゲラック 6.5
ペナルティエリア内をカバーするハイボールの守備と冷静なコーチングが守備を引き締めた。前半終了間際には際どいシュートをかき出し、17試合目のクリーンシート達成に大きく貢献。
DF
34 オ・ジェソク 6
対面の東の機動力には手を焼いていたが、要所を締めて守備を安定させた。攻守に頑健さを見せる部分はいつも通りで、攻撃のサポートも手厚かった。
4 中谷進之介 6.5
D・ヴィエイラを目がけたハイボールも多い試合に、果敢に身体をぶつけて対応した。五分の勝負でもその後の展開を許さない粘り強さは、読みの鋭さも感じさせた。
3 丸山祐市 6.5
キャプテンとしての振る舞いも毅然としており、チームに対する影響力も感じさせた。空中戦、フィード、対人守備とハイレベルにプレーし無失点に貢献。
23 吉田 豊 6.5
ボールを持てばボールを前に運び出し、決勝点の場面を含め後半は中寄りのポジショニングでも相手を困らせた。守備でも判断力に優れたところを見せ、全く崩れなかった。
MF
15 稲垣 祥 6.5
古巣を相手に獅子奮迅の働き。守備の局面での粘り強さ、攻撃につながるボール奪取、シュートも積極的に打ちに行き、チームの攻守を支えた。
2 米本拓司 6(63分OUT)
ボールへのアプローチと機を逃さない縦方向へのプレーは劣勢のなかでもチームを勇気づけた。後半になると疲労が目立ち、試合の流れを踏まえた戦術的交代に。
MF
16 マテウス 6(88分OUT)
1年間フル出場の疲れは隠せなかったが、それでも攻撃に移った際の怖さはところどころに見せた。それまでのパフォーマンスが牽制になるだけの1年にはできた選手だ。
11 阿部浩之 6(56分OUT)
普段より低めのポジショニングでボール保持に参加し、組み立てができればゴール前へ。惜しいチャンスも作ったが、流れを変えるべく交代でシーズンを終えた。
27 相馬勇紀 6.5
コンディションの良さを感じさせる動きは相手との駆け引きも豊富で、今日の名古屋の1つの起点となっていた。チャンスメイカーとして上々の出来。
FW
17 山﨑凌吾 6.5
負傷から戻って初のフル出場で、素晴らしい仕事をやってのけた。空中戦を含めたボールの競り合いの強さでチームにアドバンテージを与え、1トップとしての役割を果たした。
交代出場
FW
MAN OF THE MATCH
25 前田直輝 7(56分IN)
途中出場が続いた終盤戦だったが、腐らずおごらず最後に決定的な仕事をやってのけた。前半で得た情報をもとに相手の隙を突く動きを繰り返し、代名詞の豪快なシュートで決勝点。
MF
8 ジョアン・シミッチ 6(63分IN)
米本に代わって中盤に入り、得意のゲームメイクと空中戦の強さでも広島の侵攻を食い止めた。相馬に通したパス、終盤のディフェンスの熱さ、ともに気迫がこもった。
MF
26 成瀬竣平 ―(88分IN)
終盤の守備固め、ボール保持の2つを使命としてピッチに投入された。大きな仕事はなかったが、今季の成長を示すスムーズなプレーぶりを見せた。
監督
マッシモ・フィッカデンティ 6
負傷者と出場停止で選手層が厳しくなるなか、徹底した対策と守備へのこだわりを突き詰めて難敵を退けた。試合後には「良いシーズンにするという約束を守れて嬉しい」と笑顔。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
広島 5.5
ボールを持っている時間もゴールに迫る機会も多かったが、自らの決め手を欠いたことで1点に泣いた。全体はコントロールできていただけに、残念な結果に。
【広島|採点・寸評】
GK
1 林 卓人 5.5
マテウスのCKの処理で危ういところは見せたが、それ以外ではコーチング含め落ち着いたプレー。失点はノーチャンスでパフォーマンスは安定していた。
DF
3 井林 章 5.5
相馬への対応は落ち着いたもので、セットプレーでのターゲット役としても存在感を見せた。空中戦の強さも抜群で守備にほとんど穴はなかっただけに結果が残念。
23 荒木隼人 5.5
DFライン中央で守備全体を統率しつつ、相手の抜け出しに目を光らせた。上手く名古屋の攻撃を未然に防げていただけに、失点の場面だけが悔やまれる。
19 佐々木翔 5.5(56分OUT)
攻撃時には左サイドを手厚くサポートし、守備ではさすがの対人能力を披露。しかし後半開始早々に腰を痛めて負傷退場。彼のプレーは利いていただけにチームには痛手だった。
MF
25 茶島雄介 5.5(88分OUT)
組み立てが得意な逆サイドとは対照的に、縦への突破力で攻撃にリズムを作った。惜しいクロスもいくつかあったが、ゴール前にややターゲット不足の感は否めなかった。
8 川辺 駿 5.5
シャドーの森島との連係は厚く、動き回る周囲の味方を上手く使って布陣を前に押し上げた。自らも惜しいシュートを放つなど奮闘したが、一歩及ばず。
6 青山敏弘 5.5(90+2分OUT)
川辺を上手く前に押し出しつつ、自らも中盤の密集地帯で巧みにボールをさばいた。後半にはさらに支配力を見せたが、得点を導き出すことはできず。
24 東 俊希 6(88分OUT)
サイドのボールの落ち着きどころとなっただけでなく、フィードに競り勝ちペナルティエリア内にチャンスをもたらす力強さも。名古屋に常に脅威を与えていた。
MF
29 浅野雄也 5.5
やや動きすぎる部分はあったが、果敢に仕掛ける姿勢は相手ディフェンスラインにプレッシャーをかけてはいた。もう少しシュートが増えればなお怖い選手だったが。
10 森島 司 6(90+2分OUT)
ボールを持った瞬間の視野の広さと落ち着きは、名古屋守備陣のプレスをものともしなかった。攻撃のあらゆる局面に関わるパフォーマンスだったが、勝点3にはつなげられなかった。
FW
9 ドウグラス・ヴィエイラ 5.5
空中戦では相手最終ラインに対してアドバンテージを握ったが、速い展開の中では独特のリズムがブレーキになる嫌いも。
交代出場
DF
2 野上結貴 5.5(56分IN)
佐々木の負傷により急遽の出場に。しかしプレーは安定しており、試合の入りもスムーズだった。失点の場面は山﨑のポストプレーを抑えきれず、無念。
MF
18 柏 好文 ―(88分IN)
失点後に巻き返しを期しての交代出場。打開力は見せたが守ると決めた名古屋の守備は抜けなかった。
50 藤井智也 ―(88分IN)
試合終了間際の出場でほぼボールに触れることなく終了のホイッスルを聞いた。
5 松本大弥 ―(90+2分IN)
試合終了直前のCKでは惜しいボールも蹴ったが、決定機には至らず。
26 土肥航大 ―(90+2分IN)
最後の反撃要員にとピッチに送り込まれたが、あと一歩が届かず。
ヘッドコーチ
沢田謙太郎 5.5
出場停止の城福監督に代わって指揮を執った。細かなコーチングでチームを鼓舞したが、決め手を授けるには至らなかった。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文●今井雄一朗(フリーライター)
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