見どころ・戦評
[J1リーグ13節]名古屋1-0C大阪/5月8日(土)/豊田スタジアム
【チーム採点・寸評】
名古屋 6
川崎に喫した連敗を踏み台に、あくまで自分たちらしさの表現に徹して代名詞ともいえるウノゼロ勝利。インテンシティの高さ、運動量の多さで形勢を掴み、最後はJ1通算300試合出場を達成したSB吉田豊が仕留め、勝点3を得る。
【名古屋|採点・寸評】
GK
1 ランゲラック 6.5
判断に迷うシュートもセーフティファーストにさばき、クロス対応では高さを生かして味方を助けた。相手の攻撃がサイドに偏っていただけに、守護神が制空権をつかんだことは大きなアドバンテージに。
DF
17 森下龍矢 6
途中交代とは違い、全体のバランスを見ながらのプレーに前節の勢いはやや抑えめ。何度もポジショニングを指示されながらもボールを持てばガツガツと仕掛け、まずまずのプレーぶり。
4 中谷進之介 6.5
数少ないピンチに身体を投げ出し、初スタメンの森下を支えながらのプレーもしっかりこなした。ここ数試合を思えば狙われていたサイドでもあったと想像するが、きっちり蓋をした。
3 丸山祐市 6
誰もが前節からの汚名返上と見る中で、いつも以上に大きな声で味方を鼓舞し、コーチングでチームを整備し続けた。ハッキリとしたプレー選択は反省の跡か。無難な一戦に。
MAN OF THE MATCH
23 吉田 豊 6.5
セレッソの起点のひとつ、坂元を潰して前に出て、後半には決勝点もマーク。SBながらペナルティエリア内でのこぼれ球を押し込むシュートには、勝利への強い執念を感じた。
MF
2 米本拓司 6.5
守備だけでなく攻撃面でもその運動量を存分に費やし、強度の高い試合をその背中で表現した。川崎に触発されての攻撃参加は精度面では改善の余地を残すも、トライする精神には頭が下がる。
15 稲垣 祥 6
守備面ではここ数試合で崩されていたスペースへのカバーリングの意識が高く、ボールを奪う、スペースを消すという作業に目を光らせた。もちろん攻撃参加も多く、高い位置でのプレーも目立った。
FW
8 柿谷曜一朗 6.5(86分OUT)
古巣相手に奮闘。味方に時間と余裕を与えるポストプレー、ボールを収めるトラップ精度の高さは絶品だった。シュートも積極的で、攻撃の起点として陰の勝利の立役者に。
11 相馬勇紀 5.5(56分OUT)
やや低調に終えた試合。仕掛けの回数はまずまずあったが、ダンクレーや松田にうまく丸め込まれた感も強い。後半もギアが上がっていかない中で、早々に交代を命じられた。
16 マテウス 6(90+1分OUT)
ミドルシュートなど飛び道具は見せたが、かなりのハードマークにあって鋭さが封じ込まれた。川崎戦と同様に起点としてのプレーは見せられたが、勢いを止めてくる守備者に対しての打開策は欲しいところ。
9 山﨑凌吾 6(90+1分OUT)
ダンクレーやチアゴの屈強な相手DFに肉弾戦でも負けなかったがやや苦戦し、ポストプレーの精度は高められなかった。それでも守備での貢献度も高く、彼の走りがチームを鼓舞した。
交代出場
FW
19 齋藤 学 6.5(56分IN)
得意のドリブルだけでなく、小気味よいボールの散らしとパスワークでやや単調だった攻撃にリズムをもたらした。決勝点の流れも齋藤を経由したもので、切り札としての役割を十二分に果たした。
FW
25 前田直輝 ―(86分IN)
終盤逃げ切りの場面で柿谷に代わってピッチへ。サイドでのボールキープ力はもとより、時計を進めるやや“つまらない”場面を鋭いフェイントで彩るエンターテイナー気質も見せた。
DF
14 木本恭生 ―(90+1分IN)
最後の最後で自陣を固めるフォアリベロのような役割を期待され投入された。古巣対戦だったが、チームタスクに徹してプレー。
MF
5 長澤和輝 ―(90+1分IN)
中盤やや左寄りの位置で守備固めに参加。しっかり仕事をこなした。
コーチ
ブルーノ・コンカ 6
連敗のショックを感じさせない強度高いプレーを選手たちに求め、試合中もこまめに指示を出し守りきらせた。代行3試合目にしてうれしい初勝利。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
C大阪 5.5
守備は概ね堅実にできていたが、攻撃に転じた際の手数とアイデアの乏しさが試合を動かせなかった要因の一つ。負傷者やコンディションの整わない選手が多いのは致し方ないだけに、まずは意思統一が改善への第一歩か。
【C大阪|採点・寸評】
GK
21 キム・ジンヒョン 5.5
いくつかの際どい場面をセービングで切り抜け、GKとしては堅調にプレー。しかし得意な分野ではないとはいえ、ビルドアップでのミスが目立ったのはどうしてもマイナス点。
DF
2 松田 陸 5.5
相馬とのマッチアップは五分以上でこなしたが、前半の攻撃参加は控えめ。後半はクロスを上げる機会が増えたが、味方には合わず無念のパフォーマンスに。
43 ダンクレー 6
クロスに対する力強さ、攻め上がってのシュートに関わっていく姿勢はチームを底上げした。山﨑との空中戦は迫力があり、見応え十分だった。
6 チアゴ 5.5
周囲へのコーチングやフィードで攻守に貢献度を高める。ベンチとの調整もこなし、リーチの長い対人守備は良かったが、決勝点につながるミスはかなり重大なので減点。
14 丸橋祐介 6
マテウスを1対1で抑えつつ、左サイドの攻撃の起点として着実な働き。後半は押し込まれることが多かったが、持ち場はしっかり守り抜いた。
MF
25 奥埜博亮 5.5
攻守のつなぎ役だけでなく、強度の高いディフェンスでも中盤を引き締めた。チーム全体として前に押し上げられないなかで、攻撃時のプレーの選択肢は多くなかった。
5 藤田直之 5.5(86分OUT)
ビルドアップからの攻撃のバリエーションを司ったが、名古屋のインテンシティの高さにはやや手を焼いたか。ロングスローで攻撃の選択肢を増やしたが、こちらは実らず。
MF
17 坂元達裕 5.5
吉田豊とのマッチアップで自由をなかなか得られず。中央でのプレーではミスも目立ち、本調子とはまだ言えない出来に。後半は持ち直したが、もっと攻撃を盛り立てたかった。
10 清武弘嗣 5.5(69分OUT)
トップ下でのプレーでフィニッシュワークの全権を握るはずだったが、スペースのなさにプレーエリアがややゴールから遠ざかった。後半は存在感が薄まり、流れを変える交代でピッチを去った。
FW
32 豊川雄太 5.5(69分OUT)
突っ込んでいくような前線からのプレスは普段通り。惜しいボレーもあったが、周囲のフォローが少なくやや孤立した感覚も。攻撃の時間が短い中では、大きな仕事はできず。
28 中島元彦 5.5(38分OUT)
2列目左でプレーし、ファジーなポジショニングで崩しの場面を探ったが、脚に違和感を覚えて途中交代。クルピ監督曰く無理をさせないための交代だった。
交代出場
FW
13 高木俊幸 5.5(38分IN)
中島負傷を受けて、かなり急な出番となったが、プレー自体は戸惑いも感じさせずゲームに入った。持ち味の突破力で左サイドに動きを加えたが、決定的な働きは見せられず。
MF
18 西川 潤 5(69分IN)
反撃の狼煙を上げたい交代策だったが、清武に代わって入ったトップ下の位置ではスペースも時間も与えられず違いを生み出せなかった。
FW
29 加藤陸次樹 5.5(69分IN)
最前線は堅牢な名古屋の守備ブロックが待っていて、思うような仕事はできず。ラストパスもなかなか来ない中では、DFとの勝負以前の厳しさがあった。
FW
22 松田 力 ―(86分IN)
なんとか同点にと最後の一押しで古巣との戦いに投入されたが、動き出してもボールが出てこず、印象は薄い。
監督
レヴィー・クルピ 5.5
負傷者続出のなかで難しいやりくりを強いられるが、特に攻撃面でチームの方向性が希薄で散発に終わった印象。守備は悪くなかっただけに、どうやって点を取るかが明確になれば……。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文●今井雄一朗(フリーライター)
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