見どころ・戦評
[J1第20節]川崎2-2仙台/5月12日/等々力
【チーム採点・寸評】
川崎 6
開始3分に小林のゴールで先制するなどゲームの入りは良かった。しかし「ミスが多かった」と鬼木監督が振り返ったように、“らしく”ないプレーがあったのも事実。1-1に追い付かれたあとに、改めてギアを入れ直し、三笘のゴールで勝ち越した点はさすがだが、後半アディショナルタイムに被弾。これで21試合無敗で、リーグタイ記録としただけに決して悲観するような結果ではないが、理想が高いチームである、この悔しさは次戦にぶつけるだろう。
【川崎|採点・寸評】
GK
27 丹野研太 6
チョン・ソンリョンに代わって先発。2失点したとはいえ、1失点目のシーンでは相手のシュートを弾いたところを決められ、2失点目はマルティノスの強烈ミドルを褒めるべきだろう。87分には赤﨑の至近距離からのフィニッシュを止めるセーブもあり、声もよく出ていた。
DF
13 山根視来 5.5
前半は小林、脇坂らと連係しながら右サイドを崩しにかかり、この日はストレート系のクロスが多かった印象。ただ、後半は珍しくパスミスも。1失点目のシーンも疲労からか足をすべらせ、相手の進攻を許してしまった。
5 谷口彰悟 6
フィード精度は相変わらず高く、後半には裏へ走る知念に正確なボールを供給してシュートチャンスを演出。守備でも皆川との肉弾戦も苦にせず、カウンターをよくケアした。しかし、2失点は守備リーダーとして納得いかないはず。2失点目はブロックが間に合わず。
7 車屋紳太郎 6(85分OUT)
谷口とCBを組み、左足での高精度パスをバシバシ通し、攻撃をサポート。好パフォーマンスに「6.5」としたかったが、1失点目のシーンでは氣田の突破を止め切れず。悔いの残る対応になったのではないか。
2 登里享平 6.5
試合後には反省の言葉が続いたが、開始3分には見事な突破からクロスで小林のゴールをアシストし、縦パスで三笘のゴールも演出。2ゴールに絡んだ面は評価されて然るべき。
MF
25 田中 碧 6(78分OUT)
この日もアンカーとして先発。通常通りピッチを走り回り、ボールを回収して、攻撃につなげたが、前半途中には足首を捻り苦悶の表情。その影響か、以降の時間はこれまで見せていたダイナミックさが減り、パスもややズレた印象だ。
8 脇坂泰斗 5.5(65分OUT)
ボールを引き出し、相手と競りながら味方につなぐ。“潤滑油”としての意識は高かったが、なかなかビッグチャンスは生み出せず。工夫をこらしたセットプレーも残念ながらこの日は不発。山根や知念らとともに「6」よりの「5.5」というところか。
MF
47 旗手怜央 6
よく身体を張り、巧みなターンで前へ。先制点にも絡んでおり、インサイドハーフとして十分な働き。ただ山根らと同様に連戦の影響か終盤にエネルギーが切れた印象。抜け出すまで秀逸だった惜しいシュートも決めたかったところか。奮闘ぶりに「6.5」をつけたかったが……。
FW
11 小林 悠 6.5(78分OUT)
負傷明けの一戦に右ウイングとして先発。開始3分の左の登里のクロスに頭で合わせたゴールはマークを外す動きを含めて“らしさ”満点。その後も右サイドでよく守備に戻った。今度はCFで長い時間、見てみたい。
18 三笘 薫 6.5
先制点は相手DFがこのドリブラーを警戒した動きから生まれており、1-1に追い付かれた後には、登里→遠野とつないだ縦パスに抜け出して冷静にフィニッシュ。ボールロストするシーンもあり、勝利には結びつかなかったが、自らの仕事をキッチリこなした。
20 知念 慶 5.5(65分OUT)
前線でよく身体を張り、クロスにも果敢に飛び込んだ。ただ欲しかったゴールは生まれず。ストライカーとしては課題の残るゲームか。次戦に期待。
交代出場
MF
41 家長昭博 5.5(68分IN)
攻撃をより加速させたかったが、この日は決定的な仕事をできず。終盤のGK丹野と被り、赤﨑にシュートを打たれたシーンはヒヤッとした。
MF
3 塚川孝輝 5.5(68分IN)
出場直後はセットプレーの流れからヘッドを狙い、中盤でハイボールを撥ね返すなど高さを生かした。しかし、74分には直前にハイボールを競っていた面もあるが、氣田の突破を食い止められず、後半アディショナルタイムには相手のパスをクリアし切れずに、バイタルエリアでマルティノスにシュートを許してしまった。
FW
19 遠野大弥 -(78分IN)
83分には登里の縦パスに反応し、ボールをすらして三笘のゴールに絡む。もっともその後の逃げ切りには寄与できず。
FW
9 レアンドロ・ダミアン -(78分 IN)
同点に追い付かれた直後に遠野とともに登場。相手に圧力を与えたが、激しい守備にも遭い、土壇場にマルティノスにゴールを奪われたシーンは、彼がディフェンスされたところから始まった。
DF
4 ジェジエウ -(85分IN)
車屋が足を攣っていたようで、クローザーとして投入される。持ち前の力強いディフェンスは見せたが、ゲームを締めることはできなかった。
監督
鬼木 達 6
ミスが生じたと振り返ったように、上手くチームをコントロールし切れなかったか。1-1から勝ち越しを成功させるゲームの持っていき方はさすがも、改めて“クロージング”の面で課題を残したという想いだろう。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
仙台 6
開始3分にゴールを奪われ、どうなるかと思われたが、その後は粘り強く対応し、2度のビハインドも諦めず、土壇場のマルティノスのゴラッソで、敵地で貴重な勝点1をゲット。今後の試合につながるはずだ
【仙台|採点・寸評】
GK
27 ヤクブ・スウォビィク 6
日本語を織り交ぜながら周囲に指示を飛ばし、ディフェンスを引き締めた。2失点したとはいえ、際どいシュートもセーブした。
DF
25 真瀬拓海 5
失点場面以外では奮闘したが、3分には右サイドを登里に突破され、83分には三笘に裏を取られてゴールを許す。今後の糧にしたい。
5 アピアタウィア久 5.5
空中戦や対人の強さなど高いポテンシャルは発揮。ただファウルになってしまうなど粗さもあり、2失点目の場面では遠野に最終ラインから引き出され、センター部分にスペースを空けてしまった。
31 照山颯人 6
前半はCB、後半は左SBとしてプレー。CB時は川崎の攻撃に難しい対応を迫られ、ボールを外に出してCKを相手に与えてしまうシーンも。一方でSBとしてはより守備で貢献し、後半アディショナルタイムのマルティノスのゴールは彼のパスから生まれた。
4 蜂須賀孝治 5(HT OUT)
開始3分、相手の右からのクロスをファーサイドで処理しようとしたが、小林に競り負けて決められた。前半途中には接触プレーがあり、その影響もあってかハーフタイムで交代に。
MF
35 フォギーニョ 5(HT OUT)
新助っ人は周囲とのコンビネーションに改善の余地ありの印象。先制点を奪われたシーンでも旗手にもう少し寄せたかった。
17 富田晋伍 5.5(87分OUT)
パスミスがあったのはマイナス材料。それでも守備面ではエリアを消し、危険な場所をカバーしてクリア。組織を機能させた。「6」と迷う……。
MF
18 中原彰吾 6.5
ボランチとサイドハーフを器用にこなし、73分にはGKが弾いたところをつめて貴重なゴールをマーク。流れのなかではミスも見られ、2失点目の場面では寄せが甘くなるなど評価は難しいが、チームを奮い立たせた得点の価値は非常に高い。
28 佐々木匠 5.5(80分OUT)
前線からの守備をこなし、相手に激しく寄せた。攻撃面では突破を試みるも川崎の牙城を崩すには至らず。それでも積極性は買いたい。
26 加藤千尋 5.5(62分OUT)
守備時はかなり低い位置まで戻り、川崎の攻撃を迎え撃ち、穴を開けなかった。その分、攻撃に移った際に上手く輝けず。
FW
19 皆川佑介 6
孤立無援のカウンター時には潰される姿が目立ったが、1点目の氣田の突破はこのFWがハイボールを競り合ったことが始まりで、その後も身体を投げ出しながらチャンスを窺った。献身的な姿はチームに活力をもたらしたはず。
交代出場
MF
32 氣田亮真 6.5(HT IN)
川崎に押し込まれる展開のなか、73分に千載一遇のチャンスで自慢の突破力を披露。相手3人を引き連れながらシュートを放ち、中原のゴールを導き出した。あの得点は半分以上がこの男のゴールと言っていいだろう。
DF
23 シマオ・マテ 5.5(HT IN)
氣田とともに後半開始からピッチへ。最終ラインを引き締め直したが、2失点目のシーンは三笘へのカバーが間に合わず。
MF
8 松下佳貴 6(62分IN)
ボランチとして川崎の対応に回る時間が長かったが、後半アディショナルタイムにはL・ダミアンからボールを奪い、組み立てに参加。マルティノスのゴールの“前段階”を作った。
FW
11 赤﨑秀平 -(80分IN)
CKの流れでの相手のクリアミスから迎えた咄嗟の決定機はモノにできず。それでも古巣戦でゴールへの意欲は見せた。
MAN OF THE MATCH
FW
20 マルティノス 7(87分IN)
出場時間は10分に満たず、接触プレーで腹部を抑えて倒れ込み、時間を消費するなど、苦しいパフォーマンスに終わるかと思われたが……、相手バイタルエリア中央で照山からの横パスを受け取ると左足を強振。何度でも見たくなるゴラッソを叩き込んでみせた。王者・川崎相手に奪ったゴールとしても付加価値は高く、今日は“マルティノスの日だった”と言えるほどの特大のインパクトを含めて、出場時間は短いながらも、MOMに選びたい。
監督
手倉森誠 6.5
アウェー連戦とあって、小さくないメンバーの変更を選択して川崎戦に臨む。2失点はしたが、数少ないチャンスを仕留めるプランは予定通りのはず。途中起用の氣田、マルティノスが勝点1をもらすなど、采配も当たった。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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