見どころ・戦評
[J1第14節]鹿島5-3横浜/5月15日/県立カシマサッカースタジアム
【チーム採点・寸評】
鹿島 7
先制されながらも前半のうちに追いつき、後半の立ち上がりに畳みかけ、一気に勝利を手繰り寄せた。終盤に失点を重ねてしまったものの、90分間アグレッシブに戦う姿勢を失わず、11戦負けなしの横浜をねじ伏せる。
【鹿島|採点・寸評】
GK
31 沖 悠哉 6
勝ちきったとはいえ、GKとしては3失点に喜びも半減か。失点後にボールをなかなか離さず、もどかしさや悔しさ、いらだちなど、複雑に入り混じった感情を垣間見せた。
DF
32 常本佳吾 6
一瞬たりとも気の抜けない韋駄天の前田に食らいついた。こうしたインテンシティの高い実戦経験が必ずや血となり、肉となるはずだ。イエローカード2枚による退場は猛省すべきだし、もったいない。終了間際で大勢に影響はなかったとはいえ、せっかくのハイパフォーマンスも台無しになりかねない。
DF
39 犬飼智也 6
ロングフィード一発で招いた12分のピンチを冷静に対処。ハンドにならないよう、体勢を整え、シュートをはね返した。
DF
28 町田浩樹 6
先制点を奪われたシーンでは、サイドでのワンツーパスに後手を踏み、あっさりクロスを許したのは課題が残る。だが、90分を通してのパフォーマンスはマイナス査定とまではいかないだろう。
DF
14 永戸勝也 6
1対1でのシュートブロックやワンツーパスで自身の背後を取られそうな時にそれを阻止。この日は守備面での奮闘が光った。
MF
4 レオ・シルバ 6.5
開始早々に相手FWエウベルとの激しいデュエルは見応え十分。前半終了間際には左クロスをニアサイドから右足ボレーでコースを変えた。惜しくも得点にならなかったが、バーを直撃し、会場を沸かせた。
MF
20 三竿健斗 6
勝つために汚れ役を買って出た。“いざ”となったらファウルも辞さず、身体をぶつけて、相手の行く手を阻んだ。
MF
27 松村優太 6.5(66分OUT)
ハイテンションのゲームに入っていけず、前半は鳴りを潜めた。だが、後半に入ると、自慢の快足を飛ばし、PKを誘発。チーム4点目につながる右クロスも送った。
MF
41 白崎凌兵 6.5(78分OUT)
後半開始早々、ポカリと空いた広大なスペースを逃さなかった。土居の飛び出しにピタリと合わせ、逆転ゴールをアシスト。前半終了間際の左CKからの同点弾にも絡んでいた。
MAN OF THE MATCH
FW
8 土居聖真 7.5(66分OUT)
プロ人生初のハットトリックでチームを勝利に導く。節目となるJ1通算250試合出場に最高の形で華を添えた。ジーコTDから「今日は聖真が点を取るぞ」と、試合前に予言されていた。「でも、3点も取るとは思わなかったよ」とジョークを交え、祝福されたとか。
FW
13 荒木遼太郎 6.5(90分OUT)
結果的に勝敗を分けたチーム4点目をゲット。相手に当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれるというラッキーパンチながら、リーグ戦11試合ぶりの得点に笑みがこぼれた。
途中出場
MF
7 ファン・アラーノ 6(66分IN)
相手GKのトラップミスは想定外。とはいえ、最前線のFW上田をしっかりと視野に入れてのロングパスがゴールをつながった。
FW
18 上田綺世 6.5(66分IN)
J初ゴールの相手であり、過去4回の対戦で6ゴールを量産する“横浜キラー”ぶりをまたもや発揮。相手GKのトラップミスに付け込み、カバーに入ったDFの足が届かないコースに落ち着いて決めた。
MF
21 ディエゴ・ピトゥカ ―(78分IN)
ボールに触りながらリズムを作っていく典型的なプレーメーカーだが、プレー時間も少なく、ボールに触る機会も少なかった。
MF
37 小泉 慶 ―(90分IN)
退場によってひとり少なくなったチーム状況を踏まえ、後ろのバランスを整えるためにピッチに送り出され、右SBを務めた。
監督
相馬直樹 7
試合に向けたマネジメント力がさえわたっている。「ピッチに立つからには中2日をいい訳にしない。相手は好調だが、受けに回らず、前に仕掛けたときに“破る”という部分をどれだけ出せるか。選手たちは期待を超えるプレーを見せてくれた」と、リーグ4連勝に表情も引き締まる。
[J1第14節]鹿島5-3横浜/5月15日/県立カシマサッカースタジアム
【チーム採点・寸評】
横浜 4.5
先制しながら、致命的なミスを重ねて、よもやの5失点。終盤に2得点し、何とか意地は見せられたが、“自滅”の二文字が頭をよぎるのではないか。
【横浜|採点・寸評】
GK
1 高丘陽平 4
同点に追いつかれる痛恨のファンブル、5点目を与えてしまったトラップミス。「試合を壊した」と猛烈に反省する一方で、「ここから立ち直って信頼を取り戻したい」と必死に前を向いた。
DF
27 松原 健 5.5(58分OUT)
鹿島戦になると、なぜか失点につながる判断ミスや技術的なミスを重ねている印象が強い。決定機を創出する絶妙フィードもあったのだが……。
DF
13 チアゴ・マルチンス 6
タッチライン際を縦に抜け出そうとする土居のプレーを読み切ってボールを奪い取ったり、的確なカバーリングのセンスを見せり、一級品のCBであることに疑いの余地はない。大量5失点にその胸中はいかばかりか。
DF
4 畠中槙之輔 6(86分OUT)
空中戦の競り合いの際、頭部を激しく打ち、しばらく立ち上がれず、交代を余儀なくされた。本人はピッチに戻るそぶりを見せたが、“ドクターストップ”がかかった。
DF
5 ティーラトン 5
スピードのある相手の抜け出しによくついていったが、ボックス内でもつれ、PKを与えてしまった。ファウルの意図は感じられないが、場所が場所だけに、もう少し慎重な対応が求められたのではないか。
MF
6 扇原貴宏 5.5(58分OUT)
鹿島のトップ下・荒木に自由を与えてなるものかと激しく詰め寄った。29分に警告を受けていたこともあって、プレー強度を立て直すべく、その任務を交代選手に託した。
MF
8 喜田拓也 6(58分OUT)
38分、ゴール前での相手ヒールパスを読んで、難なく処理し、シュートの機会を与えなかった。パフォーマンスそのものは悪くなかったが、一気の“4人替え”のひとりに。
MF
10 マルコス・ジュニオール 6(58分OUT)
右に左に活発に動き回り、攻撃の糸口を探った。右サイドでのエウベルとのワンツーを成功させ、先制点へと発展させた。
FW
7 エウベル 6.5(81分OUT)
逆サイドにボールがある時、一番遠い位置にポジションを取り、攻撃の幅を作った。スピーディなパス交換から抜け出し、鋭いクロスで先制ゴールをお膳立て
FW
45 オナイウ阿道 7
低いクロスに対して頭で捉えた先制点、インサイドボレーで正確に決めたチームの2点目と、劣勢の中で気を吐いた。
FW
38 前田大然 5.5
危険な香りは漂わせたが、劇的に状況を変えるような大仕事はできず。鹿島の右SBの大卒ルーキー常本にスピードに乗った得意のプレーをなかなかさせてもらえなかった。
途中出場
DF
25 小池龍太 6(58分IN)
右SBに入り、チーム状況を少しでも好転させようと、アップダウンを繰り返した。言葉ではなく、そのひたむきな姿勢が味方を勇気づけたことだろう。
MF
26 渡辺皓太 6.5(58分IN)
ポジションの関係上、右サイドに出ていくケースが多かった。74分、右CKからの相手のクリアボールをいち早く拾い、チーム2点目をアシスト。
MF
14 天野 純 6.5(58分IN)
交代出場からすぐに得たおよそ30メートルのFK。果敢に狙ったが、バーの上を越した。時すでに遅しとはいえ、試合終了間際にこぼれ球をヘッドで押し込んだ。
FW
9 レオ・セアラ 5.5(58分IN)
83分、左CKの天野のボールをジャンプ一番、ヘッドで合わせた。ゴールの枠を捉えられず、悔しさを露わにした。
FW
18 水沼宏太 ―(81分IN)
相手にとって嫌なポイントにリリースされる正確なキックは相変わらず。天野のゴールは自身の右CKがきっかけだった。
DF
15 岩田智輝 ―(86分IN)
現行ルールに基づき、脳しんとうの畠中に代わり、急きょ6人目として交代出場。右CKのセカンドボールに素早く反応し、オーバーヘッドで狙った。それがチーム3点目の伏線となった。
監督
アンジェ・ポステコグルー 5.5
1-4となった時点で、試合の流れを少しでも変えようと、一気の4人替え。大胆な采配に打って出た。2点を返したが、焼け石に水。選手の技術的なミスの責任を監督に問うわけにはいかない。だが、やや集中力を欠いていたような印象だった後半の入り方は見直す必要があるだろう。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
構成●サッカーダイジェストweb編集部
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