見どころ・戦評
[J1第14節]川崎2-0札幌/5月16日/等々力
【チーム採点・寸評】
川崎 6.5
昨年、ホームで悔しい負けを喫した相手に、今回も苦戦をしながらリベンジを果たし、昨季から続く22戦無敗のリーグ新記録を樹立!! 前半は狙っていた裏へのボールがなかなか通らず、相手に攻め込まれる場面もあったが、後半はギアチェンジ。三笘のゴールで先制すると、小林の試合終了間際のダメ押し弾で勝利を掴む。後半アディショナルタイムに追い付かれた前節の反省を修正し、鬼木監督は「選手の成長を感じる良いゲームだったと思います」と評価。MOMは三笘と小林で悩むも、短い時間で圧巻の決定力を見せた後者を選出。
【川崎|採点・寸評】
GK
1 チョン・ソンリョン 6.5
前節は欠場した守護神は元気にスタメン復帰。59分には福森のFKをファインセーブ。裏を狙った相手のパスにはエリアを飛び出してクリアするなどゴールをしっかり守った。
DF
13 山根視来 6
当たり前のようにこの日も連続スタメン&フル出場を続け、右サイドの攻撃をサポート。疲労もあっただろうが、果敢で巧みなポジショニングで攻め込んだ。
4 ジェジエウ 6
強度の高い守備でボールを奪う。その後のパスが引っかかる場面もあったが、試合終盤は相手のクロスをよく撥ね返した。
5 谷口彰悟 6.5
後半に一度、A・ロペスに良い形で前を向かせてしまったが、それ以外ではキッチリと相手の攻撃をケア。改めてリスク管理能力は高く、強気なラインコントロールでチームを押し上げた。終盤に同点に追い付かれた前節の反省を生かし、最後まで声を張り上げる。
2 登里享平 6(72分OUT)
“偽のSB”として中央に入りつつ、パスコースを作ったが、前半はボールロストも。それでも守備ではマッチアップした金子の突破を阻み、後半はL・ダミアンへクロスを送るなどチャンスを作った。
MF
6 ジョアン・シミッチ 6.5
札幌の激しいプレッシングに苦慮する姿も見られたが、冷静にサイドへパスを散らした。後半はより縦へのパスを増やして攻撃を加速させ、中盤のファイトでボール回収にも寄与した。
17 小塚和季 5.5(HT OUT)
川崎での初先発を果たす。局面でテクニックを見せ、セットプレーの質も高かった。ただテンポがズレる面もあり、周囲とより連動性を高めるにはさらなる擦り合わせが必要だろう。前半のみで交代。
MF
47 旗手怜央 6.5(87分OUT)
前半はもう少しリズミカルにボールを動かしたかったが、試合を通じてよく走った。三笘の得点は家長のクロスをゴール前で彼がワンタッチしたから生まれたもの。相手エリア左の深い位置から放ったクロスバー直撃のシュートは前節にも同様の形があっただけに決めたかった。
FW
41 家長昭博 6.5
やはりリズムを変えられる存在で、シンプルなプレーで相手を惑わした。49分には右足でのクロスで三笘のゴールを演出した。
18 三笘 薫 7(78分OUT)
同じ「東京五輪世代」の田中や金子の対応に手を焼くシーンもあったが、危険な位置に入っていく力はさすが。家長のクロスが流れてくるとキッチリ決めて、貴重な先制点をもたらした。小林らとともにリーグ新記録の“22戦無敗”の立役者に。
9 レアンドロ・ダミアン 6(87分OUT)
ロングボールが増えたこの試合ではより前線で身体を張り、ポストプレーをしようと意識。攻撃の組み立てに関与した。ただゴールは奪えず。味方がファウルを受けたシーンは「アブナーイ!!」とアピール。声でもチームを盛り立てた。
交代出場
MF
25 田中 碧 6.5(HT IN)
この日は珍しくベンチスタートも後半頭から登場。先制点の場面ではボール回収からL・ダミアンに縦パスを通し、終了間際には相手と接触しながら小林のゴールをアシスト。流れを大きく変えた。
DF
7 車屋紳太郎 6(71分IN)
前節はチームが後半アディショナルタイムに同点に追い付かれたなか、左サイドをしっかり守り、攻撃にも関与。1対1のディフェンスは安定感があった。
MF
16 長谷川竜也 ―(78分 IN)
左サイドからチャンスを窺い、L・ダミアンらにクロスを供給。旗手のシュートシーンも演出した。1-0のシチュエーションで相手を突き放す2点目を奪いにいく。
MAN OF THE MATCH
FW
11 小林 悠 7(86分 IN)
残り時間わずかなところでピッチに立つと、相手最終ラインとの駆け引きで田中のパスにギリギリで抜け出し、試合を決める追加点をゲット!! 一時はオフサイドと判定されるもVARでゴールが認められる珍しい1点で、自身の300試合出場、リーグ新記録となるチームの22戦無敗達成を彩った。限られた時間で結果を残した働きぶりはストライカーとして見事で、ゴール後の咆哮には心情的にグッとくるものが。
MF
22 橘田健人 -(86分IN)
小林とともに残り5分少々のタイミングで投入される。チームのバランスを崩さずに、ボールを持てば冷静にパスをつないだ。後半アディショナルタイムにはフィールド中央で田中につなぎ、小林のゴールに関与。
監督
鬼木 達 6.5
高い位置からプレスを行なってくる相手に対し、ロングボールの比率を増やして試合に臨む。前半はなかなかリズムを生み出せずも、交代策で後半にゴールを奪い勝利に導く。前節からの修正、ベンチワークを含め、この日も勝負強さを示した。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
札幌 5.5
敗れただけに「6」とはいかないが、ペトロヴィッチ監督が「勇気のある戦いを見せてくれた。方向性に間違いはないと証明できた」と振り返ったように、昨年に川崎を下したゲーム同様、前からのプレスで王者を苦しめ、チャンスも作った。もっともフィニッシュ精度は高めたいところで、トランジションのスピードも速める必要があるだろう。
【札幌|採点・寸評】
GK
1 菅野孝憲 5.5
1失点目のシーンは三笘に詰めるものの、あと一歩が届かず。2失点目は小林との1対1になっただけに致し方なし。それでもエリアのニアゾーンに侵入された際には、素早い出足でブロックするなど味方の反撃を持った。
DF
2 田中駿汰 5.5
金子と協力しながら三笘の突破を食い止め、攻撃時にはサイドに開いて前線へフィード。先制点を奪われたシーンは「レオ(旗手)も意図していなかったはずのアンラッキーな形」との言葉通りであるが、防げなかったことに悔いも示す。クロスに前で旗手に触られ背後の三笘に決められた。
10 宮澤裕樹 5.5
前から果敢に守備をするチームにおいて、背後をカバー。攻守のバランサーとして不可欠な存在だった。ただ、如何せん担当するエリアが広いだけに、前半のあわやPKかと思われた三笘への対応や、クロスをクリアし切れずに先制点につなげられたシーンなど難しい場面は多かった。
5 福森晃斗 5.5
26分の小柏へ通したロングフィードは素晴らしく、チョン・ソンリョンにセーブされたとはいえ、後半に放ったFKも決まってもおかしくないコースだった。一方で守備面でマイナス材料があり、「6」と悩むも……。
MF
9 金子拓郎 5.5(88分OUT)
右サイドからドリブルで仕掛け、チャンスにつなげようとしたものの、なかなか相手を外し切れず。三笘への対応など守備意識も高かったが、自身としてはより攻撃で輝きたかっただろう。
8 深井一希 5.5(54分OUT)
高嶺とバランスを取りながらボールを動かし、チャンスと見るや相手ゴール前へ。ダイナミックな動きは〇も、細かなポジショニングでズレもあり、先制点の場面では家長にクロスをあげられた。後半の早い時間で交代に。
6 高嶺朋樹 6
粗さもあったが、中盤でよくファイトし、相手に食らいつくなど気持ちがよく伝わってくるパフォーマンスだった。左足でのフィードも好印象。
4 菅 大輝 5.5(69分OUT)
1失点目の場面は左サイドでの彼のボールロストが起因に。前半には惜しいシュートを放つなどゴールに迫ったが……。
MF
35 小柏 剛 6
よく走り切った姿は素晴らしい。福森からの好フィードを受けて放ったシュートは枠に飛ばしたかったが、攻守に必要な男だった。
14 駒井善成 6(68分OUT)
相手の守備網のギャップを突いてボールを引き出し、攻撃に関与。17分には金子のロングフィードを頭で折り返し、A・ロペスのチャンスへつなげた。決定的な仕事はできずも、周りとは異なった動き方はアクセントになった。
FW
11 アンデルソン・ロペス 5.5
駒井の折り返しを受けてエリア内で倒されたシーンは笛は鳴らず。左の菅のクロスにニアで合わせたシュートも、枠を捉えきれなかった。前線で身体を張るも、ストライカーとしては満足できない結果だろう。
交代出場
MF
27 荒野拓馬 5.5(54分IN)
先制点を奪われたあとにピッチへ。激しく寄せて相手の流れを切りにいった。ただ後半アディショナルタイムにはボールの競り合いで一歩早く田中に足を出され、追加点につなげられた。
MF
28 青木亮太 5.5(69分IN)
1点を追う展開で、左サイドから鋭いクロスを入れるも、GKにキャッチされるなど味方には合わず。ギリギリのところを狙った結果のはずだが、仕事を果たしたかった。ゴール前に入れられたクロスにはL・ダミアンと競り合うなど、守備にも戻った。
FW
48 ジェイ 5.5(69分IN)
前線に“高さ”を加えるも、決定機にはなかなかつなげられず。シュート0本と迫力を欠いた。
FW
33 ドウグラス・オリヴェイラ ―(88分IN)
4枚目の交代カードとして残り時間わずかなタイミングで投入される。果敢にゴールを目指したが奏功せず。
監督
ペトロヴィッチ 5.5
アウェー・等々力で勝利を掴んだ昨年と同じ勇敢な戦い方で王者に挑む。敗れはしたがチームの方向性を改めて選手たちに示せたはず。ただ、交代カードでもう少し流れを変えたかったところ。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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