見どころ・戦評
[J1リーグ14節]G大阪0-3浦和/5月16日(日)/パナソニックスタジアム吹田
【チーム採点・寸評】
G大阪 4.5
監督交代という劇薬も奏功せず、前半だけで3失点を喫し、試合が決まっていた。攻める意識が空回りし、守備陣も局地戦で完敗。今季ワーストの3失点で3連敗と新体制初戦を飾れず。
【G大阪|採点・寸評】
GK
1 東口順昭 5
苦境の中でも毎試合好守を見せていた守護神だが、この日の3失点は全くノーチャンス。ノーガードでシュートが飛んでくれば、さすがの東口も防ぎようもない。
DF
17 奥野耕平 5
2試合連続での右SBコンバート。広島戦では無難にこなしたが、自陣ゴール前での守備時に淡白さが気になった。特に2失点目の場面で攻撃参加した明本に簡単にクロスを許した。ボールの持ち方、仕掛けのタイミングを含めて判断は良く、ドリブルで仕掛ける意識も見せたが、敵陣深くでの精度が課題。守備では大崩れしなかった。
5 三浦弦太 4.5
ユンカーが巧みだったとはいえ、先制点の場面でシュートを許してはいけなかった。ユンカーを潰しに行って入れ替わられピンチも招く。後半はやや持ち直したが、勝負どころで甘さが目立った。
3 昌子 源 4
1失点目でクロスを上げさせたことを責めるのは酷だが、2失点目は完全に田中のケアを怠り、痛恨の失点を許した。田中に一度は付いて行きながらも振り切られ、3点目もアシストを許す。
24 黒川圭介 5
田中に背後を取られることを恐れずに攻撃参加を仕掛けたが、クロス精度の低さからチャンスにつながらなかった。後半は守備でも粘る田中に苦戦し、前線の高さも生かせず。
MF
32 チアゴ・アウベス 4(HT OUT)
ここまでの試合を見る限り好調とは言い難いが、練習のプレーを評価され、松波新監督に先発で起用された。ただ、攻守両面で全く持ち味を出せず、前半途中から前線に配置されるも改善せず。
15 井手口陽介 5(78分OUT)
矢島とのダブルボランチで役割分担は明確だったはずだが、本来のダイナミックさは皆無。カウンターをケアする場面もあったが、井手口らしからぬ寄せの甘さで相手に後手を踏む場面も。
MF
21 矢島慎也 4.5
かつての古巣相手に燃えないはずはなかったが、期待されたパスさばきは少なく、自陣の低い位置でのプレーが目立つ。3失点目は自身のパスミスから反撃を許し、緩慢な戻りでユンカーも潰せず。
39 宇佐美貴史 5(71分OUT)
試合の入りでは敵陣深くでボールに触り、枠内を襲う鋭いシュートも放った。両チーム最多の3本のシュートを放つも、周囲と噛み合わない場面もあり、後半は失速気味に終わった。
10 倉田 秋 5.5(78分OUT)
トップ下で好守両面にスイッチを入れることを期待された。気持ちを前面に出し、ピッチを駆け回ったが、やはり攻撃の連携に課題を残すチームだけに組織でいい崩しをできず、自身もシュート1本のみ。
FW
20 一美和成 5(HT OUT)
もっとも持ち味を発揮できる1トップで起用され、指揮官の狙いをアグレッシブなプレスで体現したが、両サイドが連動せず、空回りに。起点としても相手に狙い撃ちされ、前半のみでピッチを後にした。
交代出場
FW
30 塚元 大 5.5(HT IN)
低調なチアゴ・アウベスに代わっての投入だけに、プレー全てがよく見えた。工夫してボールを引き出し、一時は右サイドを活性化させるも、最後の精度が課題。ただ、若武者らしく、気持ちは伝わった。
FW
9 レアンドロ・ペレイラ 5(HT IN)
欲しい形でなかなかボールを受けられず、ボールを引き出しにかかっても周囲と連動できなかった。一番惜しかったのはパトリックのポストプレーからのシュートだが、不発に終わった。
FW
18 パトリック 4.5(71分IN)
かつては浦和を得意としていたが、強みだったはずの空中戦とフィジカルコンタクトでも槙野や岩波に完敗。1本、レアンドロ・ペレイラのシュートをお膳立ても、攻守で覇気を感じなかった。
MF
28 ウェリントン・シウバ ―(78分IN)
3点を追う苦しい展開で投入。守備の場面で、ややポジショニングに戸惑い、指揮官から修正された。期待された攻撃も浦和のブロックを崩すには至らなかったが、パワープレーの時間帯で唯一、なすべきことを理解していた。
MF
6 チュ・セジョン ―(78分IN)
ウェリントン・シウバとの同時投入で、引いた浦和に対してボールを効果的に動かすことを求められた。ただ、味方の動き出しが少なく、ピッチ上で明らかに難しさを感じながらプレーしていた。
監督
松波正信 4.5
就任から2日での采配だけに、多くを求めるのは酷だがホームで今季ワーストの3失点を喫したのは現実だ。両サイドに宇佐美とチアゴを配置した布陣にも疑問は残る。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
浦和 7
監督交代で勢いを前面に出してきたG大阪を巧みにいなしながら、勝負どころでユンカーという点取り屋の持ち味をチームで生かした。後半は過度に攻めず、見事に試合をコントロールし、連勝達成。
【浦和|採点・寸評】
GK
12 鈴木彩艶 6
相手の拙攻もあって、ピンチは少なかったが、守りに関しては無難に乗り切り、無失点で終えた。ただ前半、キックを味方に当ててしまうなど、フィードに課題が残った。
DF
8 西 大伍 6.5
流れを読みながら、攻守両面で老獪さを見せた。特に3点目では矢島のパスミスをすかさず田中に繋ぎ、カウンターの起点になった。後半も黒川に粘り強く対応し、大崩れせず。
4 岩波拓也 6.5
まだ試合の均衡が崩れていなかった序盤、身体を投げ出してシュートブロックし、後半もレアンドロ・ペレイラやパトリックらに対して局地戦で強さを発揮。槙野との連係も上々だった。
5 槙野智章 6.5
岩波と鉄壁の守りで、付け入る隙をほぼ与えなかった。試合中に積極的に周囲に声かけし、ピッチ内での共通理解を図るなどリーダーシップも発揮。CKの場面では惜しいシュートも放った。
15 明本考浩 6.5
チアゴ・アウベスを封印し、ここぞという場面では攻撃参加。2点目は見事なクロスで田中の走力を得点に結びつけた。本職でない対面の奥野を攻守で上回り、山中の投入後は2列目でもハードワーク。
MF
29 柴戸 海 6.5
派手さはないが、泥臭く献身的に中盤を引き締めたことは両チーム最多の走行距離と、両チームを通じて3番目のスプリント回数が物語る。やや荒いプレーもあったが、チームを助けたのは間違いない。
22 阿部勇樹 6(67分OUT)
柴戸とのコンビで中盤のリスク管理を託される。百戦錬磨のベテランだけに、守備時には目立たないものの、ケアすべき場所に立ち、適切にプレー。後半はやや運動量が落ちたが及第点だ。
MF
11 田中達也 7(79分OUT)
2節以来の先発復帰に加えて、かつて定位置を奪えなかった古巣相手に実力を発揮。3得点全てに絡んだのも見事だが、攻撃での貢献に満足せず、後半は守備でも黒川に粘り強く対応した。
18 小泉佳穂 6.5(56分OUT)
ユンカーと2トップを形成。自身のシュートは1本にとどまったが、幅広くピッチを駆け回り、ボールを引き出して起点になったり、前線で献身的にプレスを敢行したりと機能していた。
9 武藤雄樹 6(67分OUT)
主役ではなかったが、攻撃の潤滑油として要所で絶妙のプレー。1点目は田中に巧みなパスを通し、2点目もシュートに絡まなかったが、相手の嫌がる動きで三浦を引きつけていた。
FW
MAN OF THE MATCH
7 キャスパー・ユンカー 7.5(56分OUT)
公式戦2戦連発がフロックでないことを改めて証明。決して簡単ではないクロスを頭で叩き込んだ1点目も見事だったが2点目をもたらしたサイドチェンジも秀逸。存在感はすでに絶大だ。
交代出場
DF
6 山中亮輔 6(56分IN)
選手交代で勢いづく、G大阪の右サイドに対して、大崩れすることなく守備で貢献。時折長いキックを前線に供給した。過度に攻める必要がない展開での投入にミッションを遂行。
FW
14 杉本健勇 5.5(56分IN)
投入された時間帯で求められていたのは献身的な守備と時間を作ること。シュートはゼロに終わったが、自陣のサイドでも身体を張って守るなど、最低限の役割はこなした。
MF
17 伊藤敦樹 6(67分IN)
逃げ切りの展開で中盤の強度を高めるために投入された。一度自陣ゴール前で塚元に苦しい対応を強いられたが、フィジカルの強さを生かしたプレーで、無難に出場時間を終えた。
FW
30 興梠慎三 6(67分IN)
かつての鋭さには及ばないが、やはり常に相手の嫌がる動きができる存在で4点目を狙う意識も。ボールを収めたい場面でも期待に応え、交代カードとしては上々のプレー。
MF
41 関根貴大 ―(79分IN)
攻守で効いていた田中に代わってサイドで起用。守備意識を忘れることなく、適切なポジションを保ったが、ゴール前に顔を出しシュート1本を放つなど単なる専守防衛ではなかった。
監督
リカルド・ロドリゲス 7
指揮官はポゼッション率の低さを反省材料に挙げていたが、G大阪が前がかりに来ることを見越した戦いを選手に落とし込んだ。相手のプレスに動じず共通理解の高さでもG大阪に完勝。交代策も適切だった。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
構成●サッカーダイジェスト編集部
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