見どころ・戦評
[J1リーグ27節]柏2-1横浜FC/8月29日(日)/三協フロンテア柏スタジアム
【チーム採点・寸評】
柏 6.5
序盤から献身的な守備とアグレッシブな攻撃で主導権を掌握した。先制直後に同点に追いつかれたものの、後半もペースを落とさず規律の取れた戦いを進めると、クリスティアーノの豪快な一撃が決まって勝ち越しに成功。2連勝を挙げた。
【柏|採点・寸評】
GK
17 キム・スンギュ 6.5
セットプレーから1失点こそ許したが、CKのこぼれ球を狙った韓浩康のシュートや、アディショナルタイムのガブリエウのヘディングなど、相手の決定的なシーンではビッグセーブでチームを救った。
DF
24 川口尚紀 6(87分OUT)
守備面での貢献だけでなく、積極的にクリスティアーノを追い越して攻撃に加わった。前半終了間際にはイージーミスでピンチになりかけたが、すぐに守備に戻って事なきを得た。
25 大南拓磨 6(87分OUT)
マッチアップした松尾に対しては執拗なマークで仕事をさせなかった。裏への抜け出しにも、持ち前のスピードを活かしてスペースを確実にカバーしていた。
44 上島拓巳 6.5
流れのなかではエアバトルで圧倒的な強さを見せ、渡邉に入るパスをことごとくはね返した。決勝点も上島のボールカットが起点となっている。セットプレーで渡邉に競り負けて失点を許したことだけがマイナス点。
4 古賀太陽 6.5
大南、上島とともに中央を遮断。59分には背後を狙ってきたマギーニョについていき、ピンチを未然に防いだ。さらにマイボール時にはビルドアップの入り口を作り、後方からの落ち着いた配球で試合にリズムを生み出した。
20 三丸 拡 6
普段よりは攻撃に出ていく回数は少なかったが、その代わりマッチアップしたマギーニョ、交代で入った前嶋との攻防で上回り、クリアで逃げる場面の判断も良かった。
MF
8 ヒシャルジソン 6.5(83分OUT)
的確な読みによるインターセプトや、激しいフィジカルコンタクトでボールを奪い取るなど、中盤で随所に高いボール奪取力を発揮した。
28 戸嶋祥郎 6.5
見事なボレーシュートで瀬川の先制点を演出。それ以上に圧巻だったのは守備面で、球際での1対1の守備や、相手のカウンターでは素早い戻りで攻撃の芽を摘んだ。MOM級の働きだった。
MF
MAN OF THE MATCH
9 クリスティアーノ 7
31分の先制点は、彼の抜け出しとクロスから生まれた。絶好のチャンスかと思われたPKは失敗してしまったが、気を落とすことなく、71分には豪快な一撃をネットに突き刺してチームに勝利をもたらした。
FW
18 瀬川祐輔 6.5(90+1分OUT)
前々節の鳥栖戦に続き、失点に直結するFKを与えたファウルだけは悔やまれる。ただ、31分に戸嶋のボレーシュートに反応してコースを変えて2試合連続弾る。71分にはポストプレーでクリスティアーノの決勝点をお膳立てし、1得点1アシストの働き。
35 細谷真大 6(83分OUT)
体格的に勝る韓浩康に果敢にチャレンジし、前線で身体を張ってボールを収めた。常に背後を狙い続け、守備では前線からのプレッシングで相手のパスコースに規制をかけた。
交代出場
MF
27 三原雅俊 ―(83分IN)
全体的に疲労の色が濃くなった終盤に投入され、味方のパスコースの逃げ道を作るなど落ち着きをもたらした。
FW
29 アンジェロッティ ―(83分IN)
インテンシティが落ちてきた終盤に登場。前線でのプレッシングとボールキープで存在感を示した。
DF
3 高橋祐治 ―(87分IN)
交代直後に高橋峻との連携が合わず、松尾にボールを奪われたが、すぐに2対1の局面を作ってリカバーした。
6 高橋峻希 ―(87分IN)
交代直後の高橋祐と連携が合わなかった場面では、すぐに切り替えて松尾に寄せ、ピンチの芽を摘んだ。マイボール時にも無理をせず、時間とスコアに応じたプレーを見せた。
MF
11 マテウス・サヴィオ ―(90+1分IN)
後半アディショナルタイムに投入されると、執拗なまでのチェイシングで相手に自由を与えなかった。
監督
ネルシーニョ 6.5
システムを前節の3-5-2から3-4-2-1に変更したことが奏功し、試合を優位に進める。準備段階では戸嶋と対話して喝を入れることで、この試合におけるパフォーマンスを引き出すことにも成功した。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
横浜FC 5.5
ミスもあってリズムに乗り切れず、序盤から劣勢を強いられた。同点に追いついた後は盛り返す時間帯も見られたが、柏の出足鋭い守備に苦しみ、終盤の猛攻もネットを揺らすには至らなかった。
【横浜FC|採点・寸評】
GK
49 スベンド・ブローダーセン 5.5
1失点目はゴール前で瀬川にコースを変えられ、2失点目はクリスティアーノの規格外の一撃と責任は問えず。20分にはクリスティアーノのシュートを食い止める好セーブもあったが、チームを勝利に導くことはできなかった。
DF
19 伊野波雅彦 5.5
相手のカウンターでは、ゴール前に入ってくるボールに対して良いカバーリングもあった。しかし、攻守に運動量の多い瀬川に振り回され、ミスも目立った。
26 韓 浩康 5.5
細谷とのマッチアップは見応えあり。ボールを収められてもタイトなマークで自由にプレーさせなかったが、ビルドアップ時には細谷の果敢なプレッシングに苦しんだ。前半にはイージーなパスミスが引き金となって先制点を与えてしまう。
5 ガブリエウ 6
クリスティアーノ、川口の侵入には対人の強さを活かして水際で阻止。試合終了間際のセットプレーからのヘッドは、得点が決まってもおかしくはなかったが、キム・スンギュのビッグセーブに阻まれた。
MF
38 アルトゥール・シルバ 5.5(54分IN)
戸嶋が対人守備の強さと、攻守の切り替えの早さなど出色の働きを見せていたため、それに良さが消されてしまう。後半からはシャドーに入ったが、早い時間帯に交代となった。
2 マギーニョ 5.5(73分OUT)
ボールが入った瞬間に、ジャストのタイミングで三丸のチェックを受けて苦戦。裏へ抜けた場面でも、古賀の読みもあって推進力を与えることができなかった。
6 瀬古 樹 5.5
後半はポジションを一列下げてボランチに入り、瀬古とのコンビでボールを動かす。だが柏のカウンターを誘発するミスもあった。最後はアンジェロッティへの危険なファウルで一発退場に。
24 高木友也 5.5(87分OUT)
後半立ち上がりの1対3という数的不利のカウンターでは、好守備で決定期を作らせなかった。ただ試合を通しては、推進力のあるクリスティアーノと川口に背後を取られて苦しい展開を強いられた。
MF
15 安永玲央 6
試合を通じて、球際で激しいヒシャルジソンのアプローチを受けたが、良いポジショニングで味方のパスコースを作り、ボールを循環させる役目を担った。
37 松尾佑介 5.5
ドリブルで柏の守備を翻弄したのは序盤のみ。良いボールが入ってこなかったこともあるが、スピードのある大南の対応や、相手の帰陣の早さによって攻撃のアクセントにはならなかった。71分にはヒールでの落としを上島に奪われ、失点に絡んでしまう。
FW
39 渡邉千真 5.5(73分OUT)
セットプレーで上島に競り勝ったヘディングシュートは見事だったが、それ以外ではマッチアップした上島に空中戦、地上戦とも封じられ、前線で攻撃の起点を作れず。
交代出場
MF
13 小川慶治朗 5.5(54分IN)
スピードを活かして背後を狙う意思は感じられたが、古賀の的確なカバーリングもあって爪痕は残せなかった。
DF
23 前嶋洋太 5.5(73分IN)
クロスに対してゴール前に飛び込んでいく姿勢や、裏へ抜け出す意欲は見せた。ただ集中を切らさなかった三丸に蓋をされてしまう。
FW
50 フェリペ・ヴィゼウ 5.5(73分IN)
パワーを活かして柏の最終ラインを押し下げ、わずかに攻撃のリズムを変えた。それでもエアバトルではマッチアップした上島に軍配が上がり、最後の攻防では柏の守備に阻まれた。
DF
3 袴田裕太郎 ―(87分IN)
対面の高橋峻も同じ87分に投入されたため、フレッシュさというアドバンテージがなく、短い出場時間では結果を残せなかった。
監督
早川知伸 5.5
柏に主導権を握られる時間帯が続いたため、後半はポジションチェンジと早めの選手交代で状況打開を試みるも流れを変えることはできなかった。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文●鈴木 潤(フリージャーナリスト)
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