見どころ・戦評
[J1 22節]名古屋3-0札幌/10月14日/パロ瑞穂
【チーム採点・寸評】
名古屋 7
まさに完勝という展開に指揮官も選手を褒め称えた。入りの良さ、守備の緊密さ、攻撃の構成すべてが名古屋のペースで進んだ試合で、攻守に押し込んで90分を過ごした。
【名古屋|採点・寸評】
GK
1 ランゲラック 6.5
相手のサイド攻撃に対してハイボールの処理が正確だった。後半のセットプレーによるピンチも身体の幅を利かせてプレッシャーをかけ、確率を大きく下げるなど質の高さを見せた。
DF
26 成瀬竣平 6.5
対人守備でも札幌のサイドのタレントと渡り合い、攻撃面では縦方向への選択肢を常に持ってプレー。危機察知能力も高く、きっちりと右サイドの安定感を表現した。
4 中谷進之介 6.5
A・ロペスやD・オリヴェイラとのマッチアップに身体を張り、周囲への的確なコーチングとカバーリングで最終ラインを死守した。縦パスの選択肢も良いものがあった。
3 丸山祐市 6.5
危ないところには必ずその姿があるような気の利いたポジショニングと読みで堅守を引っ張った。フィードにはやや精度を欠く場面もあったが、キャプテンシーあふれる声掛けで守備を引き締めた。
34 オ・ジェソク 6.5
コンディションの良さを示す、スプリントの連続性には目を見張るものがあった。相手左サイドの突破に対してまさしく壁となって立ちはだかり、攻撃面でのフリーランも活発かつダイナミックだった。
MF
15 稲垣 祥 6.5
コンタクトの強い相手の前線に対して一歩も引かず、しかもボールを奪われなかった。運動量の多さ、走力の高さを生かしてとどめの3点目を決めた一連の流れは控えめに言って驚異的。
2 米本拓司 6.5
ボールへのアプローチの激しさ、速さ、的確さはいつにも増して強烈だった。攻撃時には起用さも見せ、チームのボールキープ率向上にも一役買った。
11 阿部浩之 6.5 (59分OUT)
後方のチームメイトに縦への選択肢を常に与えるポジショニングと、そこからさらに縦へと展開していく戦術眼で攻撃を優位に進めた。やや早めの交代は次節への温存でもあったか。
FW
25 前田直輝 6.5(59分OUT)
安定してボールを前線に運び、守備に走り、押し込む展開にメリハリをつけた。スプリントの速さも今日は見せ、コンディションの回復ぶりを見せつけた。
16 マテウス 6.5
相手の大学生GKに「これが学生とプロの差」と脱帽させた高速FKで試合の流れを決定づけた。ボール保持力、カウンターの性能と速さ、今日も名古屋の主役の一人となった。
MAN OF THE MATCH
17 山崎凌吾 6.5 (90分OUT)
少なくともあと2度は決定機があったため、決めていれば7点を付けても良かった。がっしりとしたポストプレーは視野も広く、先制点だけでなく相手ゴール前に怖さを表現。しかしこの試合の積極性あふれる流れを生み出したのは彼のプレースタイルに他ならない。
交代出場
FW
27 相馬勇紀 6(59分IN)
前田に代わって投入され左サイドで速さと強さを見せたが、まだまだミスも多く細かいプレーで味方の叱咤を受けることも少なくない。仕掛ける姿勢はもっとあっていい。
FW
10 ガブリエル・シャビエル 5.5(59分IN・73分OUT)
阿部に代わって司令塔の座に就いたが、左サイドの仕掛けの場面で味方を追い越した際に左太もも裏を痛めて無念の負傷交代。貴重な2列目の戦力だっただけに、軽傷を祈りたい。
FW
44 金崎夢生 6(73分IN)
G・シャビエルの負傷で急きょ出場。それでも落ち着いたポストプレーと前がかりになる相手の裏を取る突破で、何度も見せ場を作るあたりは流石の存在感だった。
DF
13 藤井陽也 ―(90分IN)
試合終了間際に出場。完勝ムードの試合を締めた。
監督
マッシモ・フィッカデンティ 6.5
札幌の弱点を的確に突き、攻守の好循環に転換していった準備と戦術は見事としか言いようがない。完勝と呼べる試合展開は次節への良いステップにもなり、チームに勢いを取り戻させることに成功した。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
【チーム採点・寸評】
札幌 5
序盤から相手の策にはまって身動きが取れなくなり、持ち味はまるで出せない完敗の試合に。終始窮屈なサッカーの繰り返しには、交代策も効き目なく失点もかさんだ。
【札幌|採点・寸評】
GK
34 中野小次郎 5.5
大きなミスはなかったが、前半は風下でのフィードの機会が増えた部分で苦しんだ印象も。広範囲なプレーエリアは果敢で、良いセーブも多かったがチームの出来が悪すぎた。
DF
32 田中駿汰 5.5
ビルドアップに蓋をされ、苦しいボールの持ち方が多く守備でも後手に回った。後半はより攻撃的にサイドを駆け上がったが、相手の堅い守備を崩すには至らず。
20 キム・ミンテ 5.5
高さは見せたが相手の前線プレスには手こずった。パワフルな攻め上がりもあったが効果は薄く。後半には苛立ちが見えるプレーで余計な警告までもらった。
5 福森晃斗 5 (HT OUT)
立ち上がりすぐにピンチとなるボールロスト。以降も前線との距離が遠く得意のフィードも生かす展開に持ち込めず、前半で交代となった。
MF
7 ルーカス・フェルナンデス 5.5(79分OUT)
押し込まれ攻撃の人数が増えていかない中で孤軍奮闘。チャンスメイクもその後の分厚さが足りず、後半になっても周囲のサポートは得られなかった。
27 荒野拓馬 5
ビルドアップの加勢に前線のフォローにと奔走したが、常に囲まれているようなプレー環境には苦戦を強いられた。前がかりに攻めた後半も展開は変えられず。
10 宮澤裕樹 5(HT OUT)
荒野との距離感、角度がうまく取れずに前後を分断されるようにして存在感を失った。後半にかけて流れを変えるため、ハーフタイムで交代に。
4 菅 大輝 5
持ち前の走力が全く出せなかった前半は見せ場ゼロ。後半は福森に代わってFKのキッカーを務めたが、やはりチャンスメイクに絡むことは少なかった。
MF
30 金子拓郎 5(70分OUT)
前線での仕掛けは名古屋の緊密な守備の前に阻まれ、深い位置にボールを引き出すことままならず。全体的に見てもボールタッチが少なく、能力を発揮できなかった。
14 駒井善成 5.5
運動量豊富に攻撃の活性化を狙ったが、放り込みの多い前半には多勢に無勢の感覚が強かった。後半はアンカーの位置から反撃の土台作りに専念したが、守備に回ることの方が増えてしまった。
FW
11 アンデルソン・ロペス 5.5
ロングボールの放り込みが多かった前半は何とか時間を作ろうと身体を張ったが、いかんせん味方のフォローが少なく孤立した。
交代出場
MF
31 高嶺朋樹 5(HT IN)
DFラインに入って後方からの攻撃参加を担ったが、逆にプレッシャーをかけられ守備に回ることも多々。縦への勢いを出したいところだったが、難しい試合となった。
FW
33 ドウグラス・オリヴェイラ 5(HT IN)
A・ロペスとのツートップ気味のポジショニングから広範囲に動き回ってボールに絡んだが、周囲との連係が今ひとつ。怖さがゴールを奪うという部分に集中させられなかった。
MF
26 早坂良太 5(70分 IN)
中盤に入ってボールの流れの良化に努めたが、劣勢の中では決定的なプレーにつなげることもできず。試合展開に埋もれてしまった印象。
MF
19 白井康介 5(79分IN)
右サイドでのチャンスメイクに努めたが、相手の激しいディフェンスの前に抑え込まれた。
監督
ペトロヴィッチ 5
今季で最も悪い出来と評した前半から展開を変えることができず、良いところなしの敗戦に試合後は名古屋を称えた。後半の大胆な反撃策は流れを変えかけたが、実らせることはできなかった。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文:今井雄一朗(フリーライター)
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