審判自身を守るためにもビデオ判定導入を!
ニッカンサッカー 2016年2月4日 10:00配信
U-23アジア選手権準々決勝・韓国-ヨルダン戦で誤審と思われる判定があった。
この試合、韓国が前半23分にMF文昶辰(22=浦項)のゴールで先制。試合を優位に進めた。だが時間の経過とともにヨルダンも反撃。特に後半はヨルダンがペースを握った。
そして後半23分。ヨルダンは右クロスから、ゴール前のDFハダドがオーバーヘッド。これはジャストミートしなかったが、転がってきたボールを、すぐ右にいたMFファイサルが頭で押し込んだ。
だがこのヘディングがオフサイドと判定され、同点ゴールは幻となってしまった。
しかし、テレビのVTR映像を見る限り、ハダドがオーバーヘッドをした瞬間、韓国のDFラインの1番右(攻撃側から見て)にいた選手が、明らかにファイサルよりゴール寄りに立っていた。
ヨルダン協会も、オフサイドではないとはっきり分かるこのシーンの写真を協会公式ツイッターに掲載。アジア連盟(AFC)へ正式に抗議することを発表した。
撮影技術などの飛躍的な向上により、現代スポーツは審判にとってはより辛いものになったという論調がある。
間違った判定をしようものなら、すぐにVTRがテレビでもスタジアムでも繰り返し流され、誰の目にも誤審だということが分かってしまうからだ。
だが筆者の意見は逆だ。機械の性能が向上したのであれば、それを使って生身の審判を守ることができるのではないだろうかと考える。
今回のオフサイドの判定により(もちろんそれだけが敗因ではないが)、ヨルダンはリオ五輪出場を逃した。
オフサイドの判定をした副審の方は、今後ずっと「自分は本当に正しかったのか」と自問自答しながら生きていくだろう。ネット等で激しい誹謗(ひぼう)中傷にさらされるかもしれない。
だがもしあのプレーの直後にビデオ判定があり、ゴールが認められていれば。審判はそういった心の傷を負わずに済むはずだ。
人間は完璧ではない。ビデオ判定を導入することが、審判の権威を失墜させるとは少しも思わない。むしろ審判を守るためにも、導入は不可避なのではないだろうか。
【千葉修宏】