女子アフリカMVPが全裸強要されていた
ニッカンサッカー 2015年1月29日 10:00配信
12年アフリカ最優秀女子サッカー選手で、所属のドイツ1部ポツダムでは大儀見優季、永里亜紗乃とともにプレーした赤道ギニア代表FWジェノベバ・アノンマ(25)が、英BBC放送の番組で行った告白が、大きな反響を巻き起こしている。
アノンマは母国で行われた08年女子アフリカ選手権決勝の南アフリカ戦で決勝ゴール。2-1の勝利に貢献した。自国開催で優勝したのは他にはナイジェリアだけとあって、アノンマは国民的ヒロインになるはずだった。だが、待っていたのは屈辱の出来事だった。
そのスピードあふれ、力強いプレーに対し、他のチームが「彼女は男ではないのか?」とクレームをつけた。これに応えたアフリカ連盟(CAF)が、ありえない検査を行ったという。
アノンマはBBCで「彼らは私に全裸になれと命じたの。CAFと赤道ギニア関係者全員の前で。精神的におかしくなりそうだった。落ち込んで、泣きだしてしまった。本当に屈辱的な出来事だった。今は乗り越えたけど」と話した。
アノンマが直面した逆境は、これが最初ではなかった。赤道ギニアの村落で育ち、5歳の時に周囲の少女からいじめを受けた。「ただサッカーで遊びたかっただけなのに。だから以降は男子とだけ遊ぶようになったの」。
父親は別の街で母親ではない女性と暮らし、母親からは「サッカーではなく勉強をしろ」と強く求められた。大学へ進み、教師になるように命じられたという。
「私は、母との関係に深刻な問題を抱え、彼女からは『もうお前のことなど見たくない』と言われた。だから私はおじと暮らさざるをえなかった。でも彼が私を都市部へ連れて行ってくれて、勉強とサッカーを続けることができた」。
アノンマは15歳だった02年に赤道ギニアの首都マラボのクラブと契約。その後はドイツへ渡り、イエナ、ポツダムで活躍することになった。ただ、今でも男性疑惑はぬぐえていない。
11年女子W杯では1次リーグで赤道ギニアが挙げた全2点を決めたアノンマ。だが大会中に再び性別論争に巻き込まれた。ナイジェリアから「赤道ギニアには3人の男性がいる」とクレームをつけられ、ガーナのあるDFからは「ピッチでコンタクトプレーをすれば3人が男性だと分かる」と断言された。
アノンマは「こういう言い掛かりは、私が速くて強いから。自分が女性だということは自分が1番分かっている」という。BBCによるとアノンマ自身、医学的検査を求めているという。1日も早く実施し、フラストレーションのたまる状態から解放してあげてほしいものだ。
【千葉修宏】