優勝請負人ラウルがNYコスモスをVに導いて引退
ニッカンサッカー 2015年11月26日 10:00配信
今季北米サッカーリーグ(NASL)のニューヨーク・コスモスでプレーした元スペイン代表FWラウル(38)は、最後まで格好良かった。
NASL春季リーグ王者コスモスは11月15日に行われたプレーオフ決勝で、同秋季王者オタワ・フュリーと対戦。すでに今季限りでの引退を表明しているラウルは、最後はゴールこそなかったものの、フル出場で3-2の勝利に貢献した。
ラウルはRマドリード(スペイン)シャルケ(ドイツ)アルサド(カタール)と、所属するクラブすべてをタイトルに導いてきた。そして選手として自身最後のチームとなったコスモスでも優勝を果たし、試合後は仲間の手で胴上げされ、宙に舞った。
タイトルを総なめにしてきたラウルだが、周囲が称賛するのはサッカーの技術だけではない。
シャルケ時代のチームメート、日本代表DF内田篤人(27)はラウルの練習への取り組み方や、内田の意見にも耳を貸す人間性に感心し、そのプロ意識を吸収し続けたという。だからこそ、コスモスの経営陣もラウルに対する称賛を惜しまない。
先日、Jリーグ視察のため来日したコスモスのアシスタント・スポーツディレクター、ルーク・ササーノ氏(30)は「ラウルはピッチ内外で本物のプロ。一緒に仕事をする上で最高の人物だ。獲得できたのはコスモスにとって本当に有益なことだった」と称賛する。
今季も30試合で9ゴールを挙げており、現役を続けてもまったくおかしくなかった。プレーオフ準決勝のフォートローダーデール・ストライカーズ戦では決勝点を決め、2-1の勝利に貢献した。ササーノ氏も引退してしまうのがもったいないといった表情で「彼は今でもゴールを入れ続けているからね」という。
「サッカーは人生の一部。簡単な決断ではなかったが、今が引退すべきときだと思った」と引き際を決めたラウルに対し、ササーノ氏はクラブ幹部就任への“約束手形”ともいうべきコメントを残した。
「ラウルはもちろん今後もサッカーに関わってくれると思う。完璧な男だから何にでもなれる。監督、クラブ会長、スポーツディレクター…。何になっても僕は驚かないよ」。スペインの英雄への最高の賛辞だった。
【千葉修宏】